7月からW杯開幕!日本の女子サッカーは今、どう成長するべきか?
こんにちは!B&編集部、元サッカー女子日本代表の泊志穂です。
2023年3月8日 国際女性デーに、公益財団法人 日本サッカー協会(JFA)主催のトークイベントが行なわれました。
「笑顔の輪を広げるために、日本の女子サッカーができること、やるべきこと」をテーマに、日本女子サッカープロリーグ WEリーグの現状やJFAとWEリーグでの取り組み、今年7月に開幕するFIFA女子W杯への思いについて4名の登壇者が話し合いました。
登壇者
・髙田春奈氏(JFA 副会長、WEリーグ理事長)
・佐々木則夫氏(JFA女子委員長、日本女子代表前監督)
・中村憲剛氏(JFA ロールモデルコーチ、川崎フロンターレ・リレーションズオーガナイザー)
・安藤梢選手(三菱重工浦和レッズレディース所属)
トークイベントの一部抜粋と、私が感じている女子サッカーへの思いを書いていきます。
目次
WEリーグが発足して1年半。手応えや課題は?
ー3月8日は国際女性デーです。日本サッカー協会は女性にちなんだ活動を行なっているんですよね。
佐々木:2020年から取り組み始め、今回が4回目になります。「女子サッカーデー」として、競技を普及していくための様々なイベントを各都道府県サッカー協会で実施いただいています。
ー夏には、いよいよ女子W杯が開催されます。2020年のWEリーグ創設後約1年半が経ちましたが、安藤選手はどのように感じられていますか?
安藤:プロになってから、サッカーと向き合う時間が増えました。なでしこリーグ時代は日中は仕事、夕方から練習というスケジュールでした。今は午前中に練習をして、午後はセルフケアや自主トレの時間に充てています。若い選手たちを見ていても、成長が早くなっているなと。
髙田:私は2022年9月にWEリーグの理事長に就任しました。1年間のデータから競技力が確実に上がっていると聞いていますし、プロ化した成果は出ていると思います。海外に比べるとWEリーグは少し出遅れているかもしれませんが、これから世界の女子サッカーのレベル向上に貢献できると感じています。
中村:女子は技術力が高いと思っていましたし、最近は戦い方が整備されてきたなと。一方でヨーロッパもかなり力をつけていて、アメリカに近づいてきているという印象があります。
サッカーにかけられる時間が増えたことで成長が早まりますし、日々の積み重ねが女子サッカーのレベル向上に繋がると思っています。
WEリーグをさらに発展させるためには?
ーWEリーグでは、社会連携活動にも取り組んでいますよね。
髙田:Jリーグでは、(中村)憲剛さんが村井チェアマンに提案したことから、「シャレン!」(Jリーグ社会連携)が始まりましたよね。地域に根ざした活動がサッカーの競技力向上・認知度向上に繋がっていくということを体現してくれています。
WEリーグでは「WE ACTION」という理念推進活動を行なっています。「WE ACTION DAY」として、各クラブが年に2回社会貢献活動を行なう日が設定されています。今後はさらに自然な形で取り組みが活発になっていくといいなと思います。
中村:僕自身当初、「プロ選手はサッカーをしてお金をもらえればいい」と思っていたんです。でも社会貢献活動を通じて地域の方々と触れ合うことで、自分たちが誰に支えてもらってるかを可視化することができ、選手としての幅が広がりました。
WE ACTIONを通じて、サッカー少女たちが現役WEリーガーと会えることは嬉しいことだと思います。子どもたちに夢を与えて、記憶に残る出来事になりますよね。
ー安藤選手が助教として勤める筑波大学では、どうすればWEリーグがさらに盛り上がるのか、学生と議論していると伺いました。
安藤:昨年から教員として授業を持つことになりました。1年間プレーした中で感じたWEリーグの現状や課題を学生たちに伝え、「どうすればWEリーグがさらに盛り上がるか」というテーマで発表してもらいました。
アニメとタイアップする案や海外との連携など様々な意見が挙がり、私自身勉強になりました。
ー若年層を取り込んでいくことはひとつ課題ですよね。
佐々木:女子サッカーをする少女たちが増えることが、なでしこジャパンの未来に繋がってきます。普及には力を入れていきたいと思っています。
ディズニーとコラボしたJFAファミリーサッカーフェスティバル”First Touch”というプロジェクトがあります。サッカー未経験の少女が保護者とペアになり一緒にサッカーを楽しむというものです。ピッチを夢の世界にイメージし、サッカーとディズニーの両方を楽しめるイベントとなっています。
プロジェクトキャプテンの澤穂希さんと宮間あやさん、海堀あゆみさんがメインキャストとして活動しており、現地の大学生や高校生とともに場を盛り上げてくれています。幅広い世代が関わっているイベントですね。
7月からいよいよ開幕!W杯へ向けたそれぞれの思い
ーW杯まであとおよそ4ヶ月。佐々木委員長はどう盛り上げていこうとお考えですか?
佐々木:昨年男子のW杯が盛り上がったように、我々なでしこジャパンも元気を届けたいですね。池田ジャパンは結果を残してくれると思いますので、期待していただければと思います。7月14日に大会直前の壮行試合が仙台で行なわれるので、ぜひ注目していただきたいです。
ーなでしこジャパンの活躍が、WEリーグを盛り上げるために重要な要素だと思います。
髙田:リーグの中で代表争いが熾烈になってきています。WEリーグを見て、誰が代表入りするのかを追うのも面白いと思います。JFAと力を合わせて一緒に盛り上げていきたいです。
中村:WEリーガーの皆さんがなでしこジャパンとして活躍し、その経験を自チームやWEリーグに還元し、女子サッカー全体のレベルを上げていってほしいですね。
安藤:なでしこジャパンは絶対にもう一度優勝してくれると信じていますし、ぜひ皆さんに注目してもらいたいと思っています。
午前中、猶本光選手と清家貴子選手(いずれも三菱重工浦和レッズレディース所属)と一緒にシュート練習をしていたんです。ただ決めるだけではなく、世界レベルを意識してシュートのスピードやコースにこだわっているのが伝わってきました。
リーグで戦っていても、「なんとしても代表に選ばれたい」という選手の気持ちを感じています。熱い戦いをWEリーグで繰り広げているので、ぜひ応援していただきたいです。
女子サッカーをなくてはならないものにするために
最後に、昨年までWEリーグでプレーしていた私個人の思いを書いていこうと思います。
今年7月に開幕する女子サッカーW杯。今回の結果がWEリーグの認知度や成長に大きく関わってくるというお話があったように、私も強くそう感じています。少しでも長く勝ち続けることで、女子サッカーを知ってもらえる機会が増えると思うからです。
昨年男子日本代表が日本中に感動を与え注目を集めました。私自身もいつのまにかテレビの前で熱くなり夢中になっていたんですよね。
日本のサッカー界を代表する選手たちが世界を相手に必死に戦う姿、最後まであきらめない姿勢、応援したくなるような試合をすることで観ている人に勇気や元気を与えることがファンや人気に繋がる。男子も女子も同じだと思っています。
結果が伴えばさらにファンが増えるだろうし、WEリーグの観客動員にも繋がるはずです。
WEリーグを初めて観に来てくれた人たちに、「またスタジアムに行こう」と思ってもらえるかどうかで、女子サッカーの人気がブームで終わるか文化になっていくかの分かれ道になると感じています。
女子サッカーに関わるすべての人が、女子サッカーの発展のためにそれぞれの立場で最大限できることを考えて行動に移すことが大事になってくるのではないでしょうか。私もその1人として、今の自分の立場からできることを考え活動していきたいと思います。
FIFA 女子W杯 オーストラリア&ニュージーランド2023
今年7月20日(木)に、FIFA 女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023が開幕します!
日本はスペイン・コスタリカ・ザンビアと同じグループCに所属。このリーグ戦で上位2チームが決勝リーグに進むことができ、そこからはノックアウト方式になります。
7月22日(土)19:00(日本時間16:00)VSザンビア
7月26日(水)17:00(日本時間14:00)VSコスタリカ
7月31日(月)19:00(日本時間16:00)VSスペイン
ぜひご注目ください!