競技中も快適に！月経カップのメリットと正しい使い方とは？産婦人科医・元プロボクサー高橋怜奈先生

産婦人科医で元プロボクサーの高橋怜奈先生が、初心者でも使いやすい月経カップ「やわらかっぷ」をプロデュースしました。先生自身も初めて月経カップを使用した時に、競技中の不快感がなくなったと実感しています。

今回は高橋先生の「やわらかっぷ」への思い、使い方のポイントや注意点についてご紹介します。女子アスリートにとって、月経カップがひとつの選択肢になれば嬉しいです。

（聞き手・文：竹村幸）

＜プロフィール＞
元プロボクサー・産婦人科医　高橋怜奈（たかはし・れな）先生

産婦人科専門医、医学博士、YouTuber。東邦大学医療センター大橋病院、産婦人科在籍。毎週火曜日に月経困難症専門外来を担当。2016年6月にボクシングのプロテストに合格し、世界初の女性医師ボクサーとして活躍。2020年10月に引退。産婦人科受診の敷居を下げるため、SNSでの発信を積極的に行なう。

1 月経カップで、競技中も快適に
2 月経カップの装着ポイントは？
3 6名の皆さまへ、抽選でプレゼント！

月経カップで、競技中も快適に

ー月経カップのプロデュースに至った経緯を教えてください。

月経カップと出会うまではずっと、生理用ナプキンを使用していましたが、デリケートゾーンのトラブルが多かったんです。アメリカに行った友人のお土産でもらった月経カップを試してみると、生理中の蒸れやかゆみが解決しました。ボクシングの激しい練習中も、漏れの心配がなくなり快適になりました。

ただ、様々な月経カップを取り寄せて試してみると、形や硬さによって出し入れの難しいものもありました。初心者でも使いやすい月経カップを作って、より多くの方に生理期間を快適に過ごしてほしいと思ったんです。

ーやわらかっぷには、月経や女性の身体について学べる月経ガイドブックが付属していますね。

自分の身体について知るきっかけになればと思い、ガイドブックを作りました。生理について正しく理解して、どのような状況であれば婦人科を受診するべきなのかを記載しています。産婦人科に受診したことのない人でも生理用品にガイドブックが付属していれば、生理について知る機会が増えるかなと。自分の体を守る方法について、きちんと知っていただきたいんです。

ーデリケートゾーンのトラブル改善以外にも、月経カップの良さはありますか？

経血量が目で見てわかることですね。1回の生理周期の合計で、20ccから140ccが正常な月経量と言われています。やわらかっぷには、目盛が記載されていて、Sサイズの一番上の線で20ccです。やわらかっぷは12時間連続での装着が可能ですが、数時間でいっぱいになってしまうとか漏れてしまうとかであれば過多月経と考えます。経血量が、婦人科を受診する指標にもなりますね。

この投稿をInstagramで見る

やわらかっぷ【月経カップ】(@yawaracup)がシェアした投稿

月経カップの装着ポイントは？

ー月経カップを初めて使用する時は、不安が多いと思います。初めて使った時はいかがでしたか？

私はもともとタンポンも使ったことがなかったので、膣へ挿入すること自体が不安でした。取れなくなってしまうことが心配な方は、万が一の際にすぐに処置してもらえるよう、婦人科が空いている時間に試してみることをオススメします。

ー私も月経カップを使用していますが、心配性なので吸水ショーツを併用して使用しています。漏れないための装着ポイントはありますか？

きちんと膣に密着して装着できていれば、ずれたり、漏れたりすることはありません。月経カップは、ナプキンなど他の生理用品が必要ないことがメリットのひとつです。どうしても心配であればおりものシートを併用するのもいいと思います。

装着のコツは、膣の中に月経カップを入れて、縁をくるっと一周指でなぞり形を整えることです。この時膣に密着しているか、確認することが大事です。凹みがあると漏れの原因となってしまいます。

ー漏れる心配がなければ、安心して競技に取り組めそうです。

出血の心配を軽減することができるので、特に露出が多いスポーツには合っているのではないかと感じています。プールや海にも入れるので水泳選手にもお勧めです。月経に振り回されず、快適にスポーツに取り組んでほしいですね。

＜装着方法＞

画像提供：『やわらかっぷ』

ー月経カップを取り出す時のポイントはありますか？

月経カップを排出する時に、体幹に力を入れ、膣外へ排出しやすいよう工夫しています。私も初めはスムーズにできなくて苦戦しました。慣れればスムーズに着脱できるようになってくるので、何回か練習してみてください。自分のやり方が見つかるはずです。

ー月経カップのお手入れ方法はどうすれば良いですか？

月経カップはお手入れが難しそうと思われがちですが、案外簡単です。守ってほしいのは、生理周期のはじまりと終わりに煮沸消毒をする事と、それ以外の時は1日1回、入浴時などに石鹸で洗浄する事です。毎日煮沸消毒する必要はありません。

日中に経血を排出する時は、経血の排出後に洗わずそのまま膣に挿入して問題ありません。膣内は無菌状態ではないので気にしすぎなくても大丈夫です。それでも気になる方は、水で流すか、ウェットティッシュを持参するといいですね。

ー月経カップを使用する上で、注意すべきことはありますか？

タンポンも月経カップも、「トキシックショック症候群（Toxic Shock Syndrome：TSS）」に注意が必要です。細かい傷からばい菌が入ってしまい、全身に菌が回って、ショック状態になってしまう病気です。紙ナプキン使用時や、火傷のときにも起こる可能性があります。

ただこれは素材の問題でタンポンに特に起こりやすいと言われており、医療用シリコンでできている月経カップで起こる事はまれです。それでもTSS発症の可能性を軽減させるために、1回あたりの使用をやわらかっぷであれば12時間以内に抑えるように使用してください（商品によって時間の目安は異なります。必ず各商品の注意事項を確認してください）。

また、着脱するときに膣内を爪でひっかいたり傷つけないようにしてください。生理期間でないときや生理中でもかなり量が少ないときに使用しようとすると、滑りが悪く膣内が傷つく可能性があるので、生理期間中に使用することと、また量が少ないときは月経カップを水や潤滑ジェルで濡らしてから挿入するとスムーズで安心です。

ー最後に、女性アスリートへメッセージをお願いします。

月経カップを使うことで自分の体と向き合って、異変を自分で察知し婦人科を受診する流れができたらと思っています。月経に振り回されず、月経の日もそうでない日も、女性が快適に過ごせるようなることを願っています。

「高橋怜奈医師やわらかっぷ」のご購入はこちら！