全米優勝からお笑いへ。“女子サッカー芸人”ひでかのセカンドキャリアの選択肢

写真:本人提供

 

高校卒業後にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで計7年間サッカーを続けたのち、“女子サッカー芸人”として活躍するひでかさん。2011年には全米大会優勝を成し遂げています。

現在はお笑い芸人として、自身の経験を活かして「ひでかの授業」というセカンドキャリアについての訪問講義、サッカー留学をしたい人のための英会話教室、なでしこリーグの試合を盛り上げる「なでしこリーグ盛り上げ隊」などの活動を行なっています。

サッカー選手からお笑い芸人の道を選んだ理由や、海外での経験や得た力について伺いました。

 

全米大会優勝時のチーム写真 写真:本人提供

 

 

「芸人以外、他の仕事は考えられなかった」

ー高校卒業後に海外へ渡り、全米大会での優勝も果たされました。選手としてサッカーを続ける選択をあえてせず、芸人になったきっかけを教えてください。

実は、「芸人になる」と小学生のころから決めていたんです。クラスに必ずひとりはいるようなムードメーカーで、もともとおもしろいことが大好きでした。

大阪出身なので、家のテレビでは新喜劇がいつも流れていましたし、お笑い番組は家族でよく見ていました。その中で小学校低学年ごろから、テレビを見て「おもしろい」と思うより「ここに立ってみたい」と考えるようになったんです。

ー小学校からの夢だったんですね。サッカーを続けられていた中で、いつ転機があったのでしょうか?

26歳の時です。

高校卒業後はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに渡ってプレーをしていました。海外にいる間にも「いつかは芸人になろう」と考えていたので、YouTubeでお笑いの動画を見たり、自分でもVineやInstagramなどのSNSでおもしろ動画を発信していたんです。

7年目になったときに、自分の中でサッカーよりもお笑いの方が優先順位が高いことに気づきました。試合中もお笑いのことばかり考えていて、「これはあかんな」と(笑)。海外でやっていくより大阪で勝負してみたいと思い、帰国してNSC(吉本総合芸能学院)へ入りました。

ーセカンドキャリアを選ぶ上で、迷いはなかったのでしょうか?

全く迷わなかったわけではありません。引退を決めた時、思いつく限りの職業を全部書き出しました。そこからやりたい職業を消去法で絞ってみたんです。

やりたくないことを考えていくと、「表に出て自分を表現したい」という気持ちが明確になりました。そのために一番好きな手段が、お笑いだと。

「サッカーが下手」よりも「おもんない」と言われることが一番嫌で、自分より笑いをとってる人がいたら「私がもっと笑いをとりたい」と思います。もっと上手くなりたい、プロとして評価されたい。そう思えるものはお笑い以外にはありませんでした。

現役時代のひでかさん 写真:本人提供

 

自分の経験こそが武器。女子サッカー界へ還元したい

ー芸人になってからは、どのような活動をされているのでしょうか?

これまでやってきたサッカーは芸人になっても武器になるなと。だから“女子サッカー芸人”としてやっていくことを決めました。前例がないからこそ、勝負できるのではないかと思ったんです。

でも高校卒業後すぐに海外でプレーし始めたので、日本でサッカー関係の繋がりがあまりなくて。どうしたら選手やチームとの繋がりができるか、選手のサポートができるか、その中で芸人として認知してもらえるかを考えました。

海外での経験が自分の武器だと気づいてからは早かったです。現在では「ひでかの授業」というセカンドキャリアについての講義や英会話レッスン、「なでしこリーグ盛り上げ隊」としてハーフタイムMCや試合を盛り上げる活動をしています。

ー女子サッカーに対して、どのような思いで活動されているのでしょうか?

ひでかの授業は、女子サッカー選手にセカンドキャリアの選択肢を広げてもらうことを目的としています。自分のサッカー経験や考え方を軸に、「気付いていないだけで、誰もが可能性を持っていて行動力や才能、運がある」ことを伝えています。

中学生の部活からなでしこリーグのチームまで幅広く、自分の経験が少しでも女子サッカー界への刺激になってほしいなと。
なでしこリーグ盛り上げ隊では、例えば試合のハーフタイムMCを務めています。勝負にこだわるのは大切ですが、「サッカーしかしない」のはもったいないと思っていて。ハーフタイムのたかが5分、されど5分。女子サッカーを楽しんでもらいたいと思っています。

もっと知名度の高い芸能人の方を呼ぶのはハードルが高いかもしれませんが、ひでかだと呼びやすいと思うんです。OGのような感覚で捉えていただける身近な存在でありたいと思っています。

ひでかの授業の様子 写真:本人提供

なでしこリーグでのハーフタイムパフォーマンスの様子 写真:本人提供

 

海外で学んだ、貪欲さ

ー持ち前の行動力は昔からあったのでしょうか?

昔から行動力はあった方だと思います。でも高校卒業後に海外へ一人で行ったことで、より鍛えられました。
海外では自己主張しないと生きていけないんです。自分の欲しいものは自分で手にいれなければなりません。自己主張して気まずくなるかも、という心配は無用です。だめなら他の策を考えればいい、と考えるようになりました。
自分が「おもろい」と思ったものは自分で掴みにいくことが大切だなと。逆に、「嫌だ、苦手だ」と感じることを思いきって切るのも重要です。自分がいつでも納得できるような生き方をしたいですね。

ーサッカーをやっていた経験から、具体的に今に活きていると感じることはありますか?

ハングリー精神です。先ほどもお話しした通り、海外では誰も助けてくれません。常に貪欲に立ち向かえるガッツは活きています。

あとはチームワークですね。実はお笑いもチームプレーで、滑るときはみんなで滑るし、おもろいときはみんなでうけます。スベっても、スベったと思わせなかったら勝ち。こうやってみんなで助け合う感じなんです。誰かのミスをカバーするところは、サッカーに似ているかなと。

ー最後に、女子サッカーを今後どのようにアピールしていきたいですか?

個々の選手の魅力をもっと伝えていきたいですね。選手以外にも人としての魅力を知ってもらい、そこも含めて女子サッカーの魅力として感じていただきたいなと。

「カフェ・ユニバ・映画・女子サッカー観戦」などと、友達と遊ぶ選択肢の中に入ってくれると嬉しいですよね。女子サッカーを好きな人がお笑いに興味を持ってくれたり、お笑いを見てひでかを知った人が女子サッカーにも興味を持ってくれたりと、女子サッカーとお笑いの架け橋になっていきたいと考えています。

写真:本人提供

 

<ひでかさんのSNSもぜひチェックしてみてください!>

【Instagram】https://www.instagram.com/hideka_shikata/

【Twitter】https://twitter.com/hideka_shikata

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