「ゴミ拾いから、ハンドボールを広めていく」オムロン所属・グレイ クレア フランシスが社会貢献活動を発信する理由
日本ハンドボールリーグ・オムロンピンディーズに所属するグレイ クレア フランシスさん。2021年12月に開催された女子世界選手権では日本代表へ初選出された、勢いのある選手です。2023年3月の日本ハンドボールリーグ プレーオフでも活躍が期待されます。
またクレア選手は、少しでもハンドボールを知ってもらい「社会から応援されるチームになりたい」と、競技外でも主体的に活動しています。現在はゴミ拾い活動に取り組んだり、ハンドボールや活動について積極的に発信中です。
SNSが発達した今、プレーするだけにとどまらず、自ら発信し価値を高める活動もアスリートにとって重要です。競技外の活動に目を向けるようになったきっかけや、今後伝えていきたいことを伺いました。
(聞き手:市川紀珠、竹村幸)
社会から応援されるチームになるために。ゴミ拾い活動への思い
ー日本のハンドボール選手の中でも、クレア選手は積極的にゴミ拾い活動をしている印象です。2021年に始めたきっかけについて教えてください。
チームがあまり良い結果を残せていない中で、「強いオムロンを取り戻すために何ができるのか(※)」を考え始めたことがきっかけです。自分自身が強くなることに加えて、応援したいと思っていただけるチームになる必要があると考えました。
※オムロンピンディーズは過去リーグ優勝11回を誇るものの、2014年以降優勝から遠ざかっている。
そのためには、ハンドボール以外でも応援される要素を作り出すべきかなと。やらされて取り組むのではなく、選手自ら行動していきたいと思いました。
そんなことを考えていた時、琉球コラソンさん(日本ハンドボールリーグ所属の男子チーム)がゴミ拾い活動をしているのをTwitterで見かけたんです。直感で「これなら自分もできる」と感じました。もう次の日にはスーパーに行って、トングと手袋を購入していましたね。
「eスポGOMI with アースフレンズBM 〜eスポーツで社会課題を攻略!〜」
ゴミたくさん拾ってます🧹
♯13 峰岸勁志郎
♯24 依田純真 @to_ma0929
GM 石田孝一 @kyupi22 #eスポGOMI @espogomi https://t.co/El4d53nrrl pic.twitter.com/PREuwNcMJP— 琉球コラソン【challenge】 (@RyukyuCorazon) December 18, 2022
社会貢献活動を通じて、多くの方にハンドボールを知ってもらいたいです。活動の延長線上で、「オムロンでプレーしているハンドボール選手」だと覚えてもらえると嬉しいなと。選手としても、人としても、応援されるチームを作っていきたいと思っています。
ー社会貢献活動をしよう、と考えられるようになったのはいつ頃からなのでしょうか?
大学生までは、競技外での活動に関して全く考えたことがなかったです。実業団に入ってから、良い意味で周囲の目を気にするようになりました。
オムロンの看板を背負っている以上、責任感を持って取り組む必要があります。「どこで誰に観られているのかわからない」という意識を持って取り組んでいます。
ー活動にはチームメイトを巻き込みながら取り組んでいますよね。
自分一人より、周りを巻き込んでいく方が広がっていくと思いました。みんなで取り組むことで、チームとして応援されるようになると嬉しいです。
はじめは仲の良い選手を誘って始めました。徐々に他のチームメイトからも「今度誘ってよ」と声をかけてもらうことが増えて、どんどん輪が広がりました。みんな前向きに参加してくれています。
ー実際に活動を始めてみてチームを取り巻く環境に変化はありましたか?
同じ地域でゴミ拾いをしている高齢者の方々のグループなど、知らないところで地域に貢献している人たちがいることに気づきました。活動を発信して、山鹿市内にとどまらず全国的にゴミ拾いを始めてくれる人が増えると嬉しいです。
ファンの方々からの反響も多くありました。試合会場で「いつもゴミ拾いの投稿を見ています」と言っていただいたり、山鹿市内の外食先で「最近うちの子がゴミ拾いをするようになったんです」とお声がけいただいたりしたときは、とても嬉しかったですね。
ー今後の活動の展望をお聞かせください。
数ヶ月前から、チームとして正式にゴミ拾い活動を始めました。地域の方々と一緒に広げていけば、これまで以上に大きな規模で実施できると感じています。個人でやるよりも影響力がありますし、チームからも積極的に発信していきたいです。
「いい活動をしているのに、発信しないのはもったいない」
ー先ほどからも話に出ていますが、クレア選手は発信もかなり積極的にされていますよね。
いい活動をしているのに、周りに発信しないのはもったいないですよね。伝えることで、いい影響を広げていきたいんです。
ーTwitter、Instagram、TikTokと使っている中で、プラットフォームごとに意識していることはあるのでしょうか?
それぞれのSNSに特徴があるので、無意識に意識しているかもしれません。Instagramのストーリーズは24時間で消えるので日常的な内容を出しやすいですし、Twitterは拡散力があります。TikTokでは、ゴミ拾い活動の動画だけでなく、プレー集や山鹿市内のおすすめグルメなど幅広く投稿していきたいと思っています。
全てに通じて言えるのは、見た人が嫌な気持ちにならないように注意すること。自分なりに言葉を選んで投稿しています。
ーハンドボールのどのような魅力を伝えていきたいですか?
「走る・飛ぶ・投げる」の三要素が合わさっていて、激しい攻防からスピーディーな展開で点を取り合うのが魅力です。シュートの種類が豊富で、キーパーとの1対1の駆け引きも見どころだと思います。最後の数秒間までどうなるのかわからない、ドキドキを味わえるスポーツです。
女子は男子に比べて激しい接触プレーがないので、テクニックやフォーメーションに力を入れています。「(シュートまで)こんな運び方もあるんだ」と気づいていただける部分も多いのではないでしょうか。
ー今後の目標を教えてください。
3月17日、19日、21日に日本ハンドボールリーグの日本一が決まるプレーオフがあるのですが、そこでチームでいちばん勝利に貢献できる選手になるのが目標です。
競技外での活動や発信も続けて、ハンドボールを知っていただく方が増えると嬉しいと思います。個人的には撮影していただくのも好きなので、写真を通じてハンドボールを知らない人たちの目に止まってくれると嬉しいです。チームで実施している山鹿市内の学校でのハンドボール教室も、もっと範囲を広げていって競技の普及にも貢献していきたいと思っています。
ー最後に、競技を続ける女子アスリートへのメッセージをお願いします。
女子アスリートは、結婚や出産などのライフステージの変化や環境の変化からスポーツを続けられなくなる方も多いと感じています。それはもったいないですし、私自身も現役で続けたいと思っています。ぜひ一緒に、スポーツを続けることの魅力を伝えていきましょう!
3月からはプレーオフが開催予定!
日本一を決める熱き戦いをぜひ会場でご観戦ください!
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