女子バスケ・宮崎早織『あしたも笑顔で』発売記念イベント開催!「人としても憧れられる存在に」
2025年1月13日(月・祝)、株式会社Link Sports併設のイベントスペース『Sports Innovation Arena』にて、現役プロバスケットボール選手である宮崎早織さんの初の著書「あしたも笑顔で 」(2024年11月発売)の出版を記念したトークイベントを、ベースボール・マガジン社とLink Sportsの協同で開催しました。
イベント当日に結婚を発表。新たなライフステージを迎えて「人としても憧れられる存在になりたい」と語る思いやシーズン前半の振り返りなど、たっぷりお話しいただいた会となりました。当日の様子をお届けします!
目次
チームを牽引するリーダーの覚悟。入籍後の心境とシーズン後半の意気込み
ーまずは宮崎さんから一言ご挨拶をお願いいたします!
今日は急きょイベントを開催することになったにもかかわらず、ご来場いただきありがとうございます。本日(1月13日)SNSでもご報告させていただいた通り、1月8日に入籍いたしました。多くの方がお祝いの言葉を下さり、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。家庭を持っても引き続き私らしく頑張ってまいりますので、今後とも応援の程よろしくお願いいたします。
ー現役アスリートとして活躍する中、なぜこのタイミングで入籍を決めたのでしょうか?
実は2年前に一度プロポーズを受けていました。しかし当時はパリオリンピックへの出場を目指していたので、苗字が変わることに抵抗があったんです。国際試合では規定上、パスポートに記載された名前での登録が義務付けられているため、ファンの皆さんに「誰だろう?」と思われてしまうことが不安だったんです。
その気持ちを正直にお相手に伝え、「2025年まで待ってほしい」とお願いしていました。そして今年の1月8日が私たちにとって縁起の良い日だったので、入籍を決断しました。
ー続いてバスケットボールについてもお伺いしていきます。シーズン真っただ中、現在のチーム成績は11勝7敗で3位。ここまでの戦いをどのように振り返りますか?
私がENEOSに加入してから、こんなに負けているシーズンは初めてです。もどかしさや苦しさを感じる一方で、とてもやりがいのあるシーズンだとも思っています。若い選手が多く、他チームとの経験値の差を大きく感じますが、その差を少しでも埋めつつ、シーズン後半もチーム一丸となって乗り越えていきたいです。
ー若い選手が活躍していますよね。その中で宮崎さんはキャプテンとしてチームを引っ張っています。
まさか私がENEOSでキャプテンを務めるとは思っていなかったので、戸惑いはあります。ですが、かつて先輩方が自由にプレーさせてくれたように、今度は私が後輩たちをサポートし、彼女たちが気負わずに実力を発揮できる環境を作っていきたいですね。
ー笑顔を絶やさず若い選手たちをまとめている姿がとても印象的です。苦しい場面でも笑顔でいるために、どんなことを心がけていますか?
正直、心が折れそうになる瞬間もあります。でも、若い選手ががむしゃらに頑張る姿や、試合に出られないベンチメンバーが声をかけてくれる姿を見ると、自然と笑顔になれるんです。チームメイトへの感謝の気持ちが、楽しさに繋がっていると思いますね。
ーそれが宮崎さんの自信に繋がっているんですね。プレー面でも成長し続けています。
日本代表の元監督である恩塚さんから教わった緩急の使い方は、試合ですごく活かされていると感じています。また、加入前は一度も懸垂ができないほど筋力がなかったんです。ENEOSに加入してからはウエイトトレーニングに力を入れました。筋力アップは自分のパフォーマンス向上に役立っていると思いますね。
あとは背が比較的低くジャンプシュートが打ちづらい分、フローターシュートの練習にも取り組みました。このシュートが使えるようになったことで、レイアップの幅が広がり、ペイントエリア(※)でもシュートが打ちやすくなりました。それが自信に繋がっていると思います。
※エンドラインから5.8m離れた場所に描かれた「フリースローライン」の両端を結んだ長方形のこと。バスケットボールでは、オフェンス側のプレーヤーは、制限区域内に3秒を超えてとどまることはできない。
一方で、感覚的にシュートの調子が悪い時もあります。その時は無理に打たず、他の選手に任せることも大切。でも、勝負どころではしっかり決められるような選手になりたいですね。
ーこれからシーズン後半戦に向かっていきます。改めて今後の意気込みを教えてください。
チームとしては苦しい状態が続いていますが、みんなで一丸となって再び這い上がっていかなければなりません。ファンの皆さんの声援が、私たちの力になっています。負けているときこそ、たくさんのメッセージを送っていただき、背中を押してもらえると嬉しいです。
ー後半戦も宮崎選手の活躍を楽しみにしていますので頑張ってください!
「憧れの存在になりたい」著書で語ったSNS発信と怪我予防
ーここからは、昨年11月に発売された『あしたも笑顔で』についてお話を伺いたいと思います。出版のオファーを受けようと思った理由を教えてください。
私は常に選手として順調だったわけではなく、挫折を経験しながらオリンピックの舞台にたどり着いたんです。だからこそ、試合に出られない選手やもどかしい気持ちを抱えながら頑張っている選手たちを少しでも手助けできればという思いで、この依頼を受けました。
ー周りの方の反応はいかがでしたか?
チームメイトの中には、買って満足している選手もいるようなので数人しか読んでいないと思います(笑)。家族はみんな「良かったよ」と連絡をくれました。
ーアスリートとしてだけではなく、人としても憧れられる存在になりたいと書かれていたことが印象的でした。そう思ったきっかけはあるのでしょうか?
私がバスケットボール選手を目指す上で、大きな影響を与えてくれたのが吉田亜沙美選手でした。最初は、会うことができたらそれで満足するかと思っていましたが、いざ一緒にプレーしてみると、その凄さを目の当たりにして、さらに強く憧れるようになったんです。その経験から、私自身もさまざまな一面を知ってもらうことで、誰かの憧れの存在になりたいと思うようになりました。
ー実際にSNSを拝見すると、プレーに関することよりもプライベートや日常に関する投稿が多いと感じました。ご自身としては、どのような意図をもって発信しているのでしょうか?
ファンの皆さんは、いつも選手としての私を応援してくれているので、プレーしている姿はよく目にしていると思います。でも、プライベートまで知ってもらう機会はあまりないですよね。だからこそ、SNSには自分の写真や行った場所など、日常の様子を載せています。
ー今後の日本代表にも選出が期待されますが、代表選手との関係はいかがですか?
エブリン(馬瓜エブリン選手)とはいいコンビを組めているので、今後も仲良くしていきたいと思っています。個人的にはリツさん(高田真希選手)や東藤なな子選手と絡むことが多いですね。今後も選手の新たな一面を伝えていけるように、Instagramを更新していきたいです。
ー著書でも触れていらっしゃるように、宮崎さんの大きな強みは「怪我をしないこと」だと思います。日々のケアやルーティンなど、怪我を防ぐために実践していることがあれば教えてください。
ENEOSでは前十字靭帯を痛めてしまう選手がとても多いんです。1年間バスケットができなくなったり、リハビリに専念したりする選手達を間近で見て、私自身どうすれば怪我を防げるのか真剣に考えるようになりました。
その結果、怪我に対して重要だなと思ったのは、メンタルが身体に与える影響をきちんと認識することです。疲れているときには、勇気を持って休むことが大切。苦しい時期もありますが、その時こそ自分と向き合い、体のケアを大切にしています。これはスポーツだけでなく、働いている人たちにも当てはまることだと思います。
それでも体調が優れない時は、トレーナーにしっかり相談するように心がけています。
ーメンタルを安定させるために旦那さんに相談することもありますか?
そうですね。でも基本的には、私が一方的に話すようなスタイル。旦那さんはただ聞くだけという感じです。だから、私が苦しくて思わず愚痴をこぼしたときも「なるほど」と一言言われて終わり(笑)。でも逆に、その方が気が楽な部分もありますね。
ー質問コーナーを挟んだ後にプレゼント抽選会があります。プレゼントをもらうとしたら何が嬉しいですか?
もちろんなんでも嬉しいのですが、お風呂にゆっくり浸かるのが好きなので、入浴剤をいただけるとすごく嬉しいです。それから、お皿やコップなどの食器類も大好きなんです。私のために時間を使って選んでくださる、その行動自体がとても嬉しいので、基本的に何でも喜んで受け取ります。
ーでは最後に、旦那さんからもらった物で一番嬉しかったものは?
これは指輪と答えなければいけないですかね?(笑)。
ーありがとうございます!今後の新たな生活も楽しみですね。
参加者からの質問コーナー!苦手なことも楽しむメンタリティを得たワケとは?
ーここからは参加者の方からいただいた質問をいくつかご紹介します。まず最初の質問です。笑顔とは裏腹に、バスケットでは強気なプレーが宮崎さんの持ち味ですよね。どうすれば強いメンタルを身につけられるのでしょうか?
私は正直、勝ち負けがつくことや戦うことがあまり好きではありませんでした。若い頃はトムさん(トム・ホーバスさん)に怒られて「もうボールを触りたくない」と思ったことも何度もあります。でも、いざ試合になると、自然と負けたくないという気持ちが湧いてくるんです。その気持ちが強気なプレーに繋がっているのかもしれません。
ー続いて、目標設定はされていますか?
そうですね。なにか漠然とした目標を設定するよりも「東京オリンピックに出場する」などといった具体的な目標を決めてきました。でも、次のロサンゼルスオリンピックについては、今のところ考えていません。まずは今シーズン、怪我せずプレーし、良い成績を残すことに集中したいと思っています。
ー次の質問です。ポイントガードとして意識していることは何ですか?
困ったときに自分が積極的に攻めにいけるよう常に準備を整えておくことです。それに加えて、ウイングやセンターの選手にもできるだけ多くボールを触らせるようにしていますね。自分一人でボールを持ち続けると、どうしても攻撃のリズムが悪くなりがちになってしまうんです。
ーでは、バスケットボールで一番大切なことは何でしょうか?
やっぱり「楽しむこと」ですかね。バスケットに限らず、嫌なことをやらなければならない場面がみなさんあると思います。そんな時でも嫌な顔をせず、自分の仕事を全うすることが、結果的にその瞬間を楽しくしてくれると思うんです。
仮にやりたくなくても任された仕事を全力でやり遂げることで良い結果に繋がると思うので、楽しんでやることが大事だと思います。
トークショーのあとはじゃんけん大会も実施して、大盛り上がり
サイン会とツーショット撮影会では、参加者一人ひとりと直接コミュニケーション