筋トレ後のお酒。ダメなのはわかるけど、どうしても飲みたいときは?
筋トレ後のアルコール摂取は筋肉にとってよくないという話、知っている人も多いはず。ただ、お酒が好きだからどうしても飲みたい、お付き合いなどで飲まざるを得ない、なんてこともありますよね。
今回は、筋トレをする人がアルコールとどう付き合えばいいのか、パーソナルトレーナーの椎名優さんに教えていただきました。
筋トレ後のアルコールは、なぜ良くないのか
アルコールを摂取すると、筋肉をつくる男性ホルモンであるテストステロンが減少し、筋肉の分解を促進させるコルチゾールの分泌量が増加します。
また、筋肉の生成に関わる物質「mTOR(たんぱく質キナーゼ)」の活動が低下することでたんぱく質合成スピードが遅くなる、つまり筋トレ後の身体の回復も遅くなるのです。
さらに、一緒に食べるおつまみには脂っこいものや塩分が多いものも多く、せっかく筋トレをして締まったからだをつくりたいのに気がついたら体脂肪が増えている、という可能性もありますね。
筋トレ後のアルコール摂取には、お酒の種類と摂取量がポイント!
筋トレをした後にアルコールを摂取する場合には、以下のことに気を付けましょう。
お酒の選び方
- 糖質を多く含むものは避ける(ビール・ワイン・日本酒・カクテル・サワーなど)
- 焼酎、ウイスキーなどの蒸留酒を使ったお酒を選ぶ
ただしジンジャーハイボールなど、ベースが蒸留酒でも糖質のソフトドリンクで割ったものはあまりおすすめできません。
摂取量
ビール程度のアルコール度数(4.5~5%程度)のもので500ml(ロング缶1本)、日本酒で2合程度が目安といわれています。
ただ、お酒に対する耐性には個人差があり、同じお酒でもアルコールの度数によって摂取量の目安が変わりますので、あくまでも参考程度にしておいてください。
お酒と一緒に摂取する食事
アルコールを摂取する上で特に気を付けなければいけないのは食事です。
アルコールは、体内に入ると有害とみなされて最優先でエネルギーとして消費されます。その間、特に糖質や脂質はエネルギーとして使われず、体脂肪として蓄積されていきます。
お酒を飲むときには、なるべく糖質、脂質を多く含む料理は少量にし、サラダや鶏肉などを摂るようにしておくと良いでしょう。
飲んだあとは
アルコールは脱水症状を促進させますので、しっかり水分補給をしましょう。
筋トレ前のお酒はNG
では、筋トレ前のアルコールはどうでしょうか。結論からいうと、筋トレ前のアルコールは絶対に避けましょう。
なぜなら、運動による脱水とアルコールによる脱水の症状が同時に起こるからです。熱中症のほか、ひどい時には脳血管疾患や心筋梗塞を起こすリスクも少なくありません。
また、筋トレの効果をしっかり出すためにはトレーニング後の栄養摂取が必要ですが、アルコールが体内に残っていると、アルコールの分解のために「肝臓」が働いており、筋肉の合成に必要な栄養を吸収しにくい状態になってしまいます。
アルコール摂取後、どのくらいの時間が経過したら筋トレをしてもいいのかは、個人差もあり明確に提示することは難しいのですが、最低でも半日以上は空ける必要があるでしょう。
飲酒翌日など、半日以上経過しても二日酔いが自覚できる時には、肝臓がまだアルコールの分解のために働いていますので、筋トレは避けるべきです。
筋トレで体づくりをしたい人は、アルコールと上手に賢く付き合おう
筋トレをする人の多くは、トレーニングによって体重や体脂肪、筋肉量といった体組成の変化を期待していると思います。
しかしアルコールの摂取は、期待する体組成の変化を妨げます。筋トレをする人は、そのことを理解しておき、飲む量やお酒の種類などを上手にコントロールしましょう。
適度なアルコールの摂取はストレス解消に効果的、という説もありますし、筋トレのためにあれこれ我慢してストレスを溜めてしまうのもよくありません。
この記事を書いている私自身もトレーニーであり、体組成の値は常に気にかけています。
ですが、お酒の席などのお付き合いも多く、お酒が嫌いというわけでもありませんので、飲むときにはあまり気にせず飲むことにしています。
ただ、飲んだあとはいつも以上に水分補給をし、脱水症状を予防することと、肝臓を休ませることに気を使っています。
筋トレもお酒も好き、もしくはお酒を飲む機会が多い人は、お酒を飲む日と筋トレをする日をあらかじめ決めておいたり、お酒の席での食事の内容に気を配るなど、大きなストレスにならない程度に、自分のお酒ルールを作るところから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆・監修者プロフィール
椎名 優(しいな まさる)
パーソナルトレーナーとして、ダイエットを目指す女性や競技力向上を狙うアスリートなど、幅広い層の運動指導に携わる。7年前、ゴルフのパフォーマンスアップを考える中で基本姿勢の重要性に気づき、以後は姿勢改善のプログラムを取り入れるように。株式会社フィットリズム取締役。(株式会社フィットリズムの公式サイト)
<保有資格>
NESTA PFT / KINESIS GOLF ADVANCE TRAINER
Golf Conditioning Specialist / Tennis Conditioning Specialist
Fit Arc Certified Running Assessment Specialist Fitness Professional
(編集:辻岡 奈保美)