鉄とビタミンがないと始まらない!たんぱく質を摂るだけじゃダメな理由
こんにちは。管理栄養士の佐藤彩香です。
最近は女性向けのプロテインが多く発売されたり、赤身肉を出すお店が増えたりと、たんぱく質の重要性がかなり浸透してきました。しかし、たんぱく質が期待されている役割を果たすには、そのほかの栄養素が必要になることを知っていますか?
たんぱく質を摂るだけでは不十分。しっかり活かさないと意味がありません。そのために必要なポイントをお伝えします。
目次
まずはたんぱく質が必要な理由をおさらい
たんぱく質はからだにとってとても大事な栄養素です。
・筋肉量を維持・向上
・代謝アップ
・ホルモン分泌を促す
・からだのリカバリー
・睡眠の質向上
などなど、からだづくりには欠かせない栄養素です。そのため、よりよいコンディションを望んでいる方や、太りにくいからだをつくっていきたい方などは、しっかりと量を摂る必要があります。
そのたんぱく質を活かしていくためには、他にどんな栄養素が必要なのでしょうか。
たんぱく質の代謝にはビタミンB群が必須!
ビタミンB群は、たんぱく質を代謝=体内で活用するために非常に大事な栄養素です。
特にビタミンB6は、たんぱく質の代謝に深く関わります。ビタミンB6が不足していると、たんぱく質をからだの中に入れてもしっかり活用されにくく、本来の役割を果たすことができなくなります。筋肉をつけたいと考えている人にとっても必須の栄養素です。
たんぱく質以外だと、糖質や脂質の代謝にもビタミンB6は不可欠。これら三大栄養素の代謝が落ちると、使われない分は余剰カロリーとして体脂肪に変わりやすくなります。積極的に摂取していきましょう。
・穀類(雑穀米など)
・ナッツ類
・動物性食品
・大豆製品
たんぱく質と組み合わせるべきその他の栄養素
上記のビタミンB群は、たんぱく質代謝に必須な栄養素です。
ここからは、たんぱく質と一緒に摂ると、コンディショニングがよりしやすい栄養素を説明します。
ビタミンC+たんぱく質=コラーゲン
ビタミンCは、コラーゲンの合成には不可欠です。コラーゲンは、骨や靭帯の構成要素。関節周りの動きもスムーズにするので、運動習慣のある女性には欠かせません。
また、美容にも欠かせないと言われる理由は、肌の真皮を構成しているから。コラーゲンの合成ができなくなり、劣化してくると、肌のたるみなどにもつながります。
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、こまめな摂取と量をしっかり確保したいです。
・緑黄色野菜
・果物
・芋類
ビタミンE+たんぱく質=ホルモンバランス、代謝アップ
たんぱく質を摂って、筋肉量をアップし、代謝をアップさせたい女性は多いと思います。そのなかで女性が無視できない要素が、ホルモンバランスです。女性は、ホルモンバランスの影響を多く受けるため、女性ホルモンが整うと、気持ちも前向きになりやすく、運動や食事に向かいやすくもなります。
また、血流の巡りもよくなるので、代謝も上がりやすくなりますし、冷えやむくみなど、女性の悩みの解決にもつながりやすいです。
・緑黄色野菜
・ナッツ
・アボカド
・植物油
鉄分+たんぱく質=貧血予防
これは女性アスリートの多くが悩んでいる「貧血」のケアにつながります。
貧血は、からだに酸素を運ぶ力が弱くなり、持久力低下の原因です。疲れやすくなったり、やる気が出なかったり、コンディションの悪化につながりやすいため、日々の活力にも影響します。
この酸素を運ぶために必要なヘモグロビンの7割を占める栄養素が、鉄分です。鉄分が不足すると、酸素の運搬効率が下がるため、アスリートにとっては致命的。そして酸素は血管を通って体中に運ばれるので、血液の素になるたんぱく質と合わせて摂ることで、効率的に体内に酸素を届けられるようになります。
しっかり鉄分とたんぱく質を組み合わせて、貧血にならないように予防していきましょう。
・赤身の肉や魚(レバー・砂肝・鮪・鰹など)
・貝類
・ひじき
・ほうれん草
・小松菜
ビタミン、鉄の効果的な摂り方
ビタミンB、Cはこまめに摂取
ビタミンB、Cは水溶性ビタミンで、体にストックができない種類の栄養素。これビタミンは、一食にまとめてではなく、とにかくこまめに摂る必要があります。
なるべく3食+補食(間食)で、ビタミンB、Cが含まれる食材を食べていくようにしましょう。
ビタミンEは油と炒めて
ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、油との相性がいいです。
また、ビタミンCと組み合わせて摂ることをおすすめしています。それは、ビタミンEは細胞膜に、ビタミンCは体液中に存在し、それぞれの場所で活性酸素からからだを守っているからです。
両方が豊富に含まれる緑黄色野菜を油で炒めて食べれば、一石二鳥!
鉄分は食べ合わせで吸収率アップ
鉄は吸収が悪いミネラルのため、吸収を阻害してしまう食事を一緒に摂ることを避けましょう。特に以下のものに注意してください。
・コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるタンニン
・ハムやソーセージ、練り製品、その他加工食品、清涼飲料水、スナック菓子などに使用される添加物の一種であるリン酸塩
・玄米などに含まれるフィチン酸塩
などがあります。過剰に摂るのはやめてみたり、鉄分を含む食材とは少し時間をあけて食べましょう。
空腹時に吸収が高まる
鉄分は吸収率が悪いミネラルのため、サプリメントなどの補助食品を利用することもおすすめです。その場合は空腹時に飲むほうが望ましいです。
ただ、空腹時に飲むと胃の不快感がある場合には、満腹までいかなくとも、少し何か入れた状態で飲んでも大丈夫です。飲むタイミングに気をつけることで、吸収率が上がります。
たんぱく質を生かす食べ合わせを
最近は、たんぱく質を摂らなきゃ!とプロテインをよく飲んでいる方も多いです。コンビニでも手に入る時代になり、身近に感じやすくなりました。
せっかく食べたたんぱく質をしっかりと活かしていくためにも、目的に合わせて、その他の栄養素を組み合わせることで効果が高まります。
ぜひたんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルへの意識も高めてみましょう。
■たんぱく質代謝を高めるレシピの紹介はこちら
■プロフィール
佐藤 彩香(さとう あやか)
企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。健康を土台とした実践型の栄養サポートを行い、プロアスリート~スポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。現在はパーソナル栄養サポート、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行いながら、「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。