たんぱく質ファスティングで、筋肉が減るリスクを抑えて代謝をあげる

こんにちは。管理栄養士の佐藤彩香です。

最近よく聞くファスティング。アスリートの中には、このファスティングを行って感覚やコンディションがよくなったという人がいます。ただ「運動しているアスリートがファスティング=断食を行うのはどうなの?」といった声もあるのは事実です。

ファスティング自体は流行している感じがありますが、ファスティングとアスリートの研究データはしっかりとは出ていないのが現状。そこで、管理栄養士として様々なアスリートと関わる中で、私が思うことを書かせていただきます。

アスリートがファスティングを行う理由とは?

内臓疲労を減らし、体内機能を活性化させる

ファスティングは体重を減らすという目的で行われることが多いですが、単に食事をとらないことで摂取カロリーを抑え、痩せるだけを目的としたものではありません。

アスリートの目的として多い事例は「内臓疲労を減らす」ということだと思います。一定期間、固形物を摂取しないことで、疲れた消化器官を休ませ、腸内環境を整えることが期待できます。

鍵を握る「消化」と「代謝」。2つの滞在酵素

ここで大きなポイントになってくるのが酵素です。酵素は、体内で消化・吸収・代謝・排せつなどの重要な働きを担っています。酵素がなければ、生体反応を起こせません。

発酵食品や生の野菜や果物によってとれる「食物酵素」もありますが、今回は、体内の潜在酵素についてお話しします。体内にもともと存在する潜在酵素には、食べ物の消化を行う「消化酵素」と体内の代謝に関わる「代謝酵素」の2つがあります。

消化活動を休ませることで、滞在酵素を代謝活動に回すことができるので、本来持っている人間の機能が高まっていくイメージです。体内の新陳代謝能力を上げたり、毒素の排泄力を高めたり、汚れた細胞をリセットしたり、免疫力を上げたり、脂肪燃焼を促したり・・・と様々な働きがあります。

お皿の写真

潜在酵素は、年齢を重ねるごとに減少し始めます。若いころは感じにくかった疲労感なども、この潜在酵素に関わってきます。

ファスティングを行うことで、人間のからだの中の機能がスムーズになり、体内機能が活性化されます。これが「内臓疲労をとり、コンディションを整える」ことに繋がってくると期待できます。

プロテインを使ったファスティングなら、筋肉量が減るリスクを抑えられる

プロテインファスティングの方法

ここで紹介するファスティングは、よくある酵素ドリンクを使うものではなく、たんぱく質含有量をしっかり含んだホエイプロテインをメインに使用するものです。プロテインファスティングのやり方は、準備期1日、断食期2日、回復期1日の計4日で行うことが多いです。以下の材料でつくるファスティングドリンクを、普段の食事に置き換えます。

ファスティングドリンクの作り方

・プロテイン たんぱく質20~25g
・無調整豆乳 300ml
・甘酒 100ml
を混ぜ合わせる。

準備期:まずは体を断食に向けて準備させるために、準備期で和食を中心にした食事を朝昼にとり、夜は置き換えでファスティングドリンクを飲みます。

断食期:一切固形物を取らないで3食ファスティングドリンクだけを飲みます。この期間で消化器官を休めて代謝を上げます。

回復期:通常の食事へ戻していく回復期です。朝は食べたいと思う生野菜や果物などを食べて戻していきます。昼は、消化のよいおかゆをとり、夜のみファスティングドリンクで置き換えていきましょう。

ホエイプロテインは、糖質量が少なく、たんぱく質の含有量が高いものを選んでいきましょう。また余計な添加物や甘味料が多く入っていないものを選ぶことも大事です。せっかくからだをキレイにしていくので、余計なものをからだに入れないように意識したいですね。

プロテインの写真

豆乳は、植物性たんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質を多くとれるだけでなく、必須脂肪酸のリノール酸も多くとれますし、ビタミンB群や鉄もとれます。もちろん無調整豆乳を選ぶことがポイントです。

甘酒は飲む点滴と言われており、栄養に優れています。ブドウ糖以外にも、ビタミンBやオリゴ糖、ミネラル類を多く含みます。また、砂糖不使用の米麹の甘酒を使用するようにしてください。

プロテインファスティングの考え方

一般的にファスティングに用いられる酵素ドリンクはたんぱく質がほとんど入っていないので、筋肉の合成が減るだけでなく、筋肉を分解してエネルギーを補おうとします。その結果、筋肉量が大幅に減少してしまいます。筋肉量が減ると基礎代謝も下がるので、避けていきたいところです。

このドリンクでは体重×2gのたんぱく質量を摂取することで、そのリスクを下げていくことを狙いとしています。それだけでなく、ポイントとなる潜在酵素も、元をたどるとたんぱく質が分解されたアミノ酸からできるものです。潜在酵素もしっかり溜めていくことができます。

ただ懸念点は、総カロリーを抑えることになるので、それによって、消費カロリーより摂取カロリーが少なくなる=筋肉が減ってしまうリスクがあるということです。そのため、リスクをなるべく避けていくために工夫をしています。

エネルギーの使われ方は糖質がメインです。しかし、糖質が不足したときに代替のエネルギーが働きます。その時に、いかに脂質を分解してエネルギーにするかが重要です。脂質をエネルギーにするために、カルニチンやビタミン類をファスティング中は、サプリメントなどで補う必要があります。

しかしながら、少なからずタンパク質も分解されて、糖新生が起こります。早急に筋肉を再合成させるために、からだへの吸収のよいホエイプロテインを摂り、たんぱく質の量もしっかり確保することによって、フォローするようにしています。

こういった点もすべて考慮して、なるべく筋肉量を落とさないようにしながら、内臓を休ませ、脂肪を燃やすファスティングができあがっています。

ファスティング期間中にやってはいけないこと

この4日間の約束事として、アルコール、カフェイン、食品添加物、たばこは避けるようにしましょう。これによりファスティングの効果が高まります。

ファスティングにベストなタイミング

ファスティングはオフ期間に行う選手が多いです。オフ期間は、活動量が少なくなってきているので、そもそもエネルギーを普段より多くとりいれなくてもよい期間。このタイミングで、肉体疲労だけでなく、内臓疲労も解消していけると理想ですね。

シーズン中であっても、週末オフがあれば、軽く数日間でファスティングを行う方もいますので、トレーニングのタイミングに合わせて取り入れるのがポイントかと思います。

まずは理論を勉強することから

詳しくは、こちらの本にやり方が載っています。

間違ったやり方は、体調を崩してしまう原因にも。しっかりとした理論がある方法を実践することで、コンディションが整いやすくなります。

また、ファスティングを指導できる専門家もいます。私もその一人ですので、ぜひお問い合わせください。からだをリセットして、内臓疲労をとっていきましょう。

プロフィール

佐藤彩香さんのプロフィール写真

佐藤 彩香(さとう あやか)

企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。健康を土台とした実践型の栄養サポートを行い、プロアスリート~スポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。
現在はパーソナル栄養サポート、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行いながら、「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。

佐藤 彩香OFFICIAL BLOG「三度の食事は三回のチャンス」を見る

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