「自分が、絶対に欲しいものしか売らない」 画面越しにも熱を伝える、野沢和香の“ものづくり”への愛情
モデル、ヨガインストラクターなど、幅広い活動をしている野沢和香さんには、自身の経験とセンスを活かしたファッションディレクターとしての顔があります。手がけてきた商品のなかには、構想に数年かかったものもあるそうですが、“ものづくり”には並々ならぬ情熱が込められています。
彼女がプロデュースした商品は次々と売れると言われる、その理由を探ってみました。多くの有名アスリートのプロデュースを手がけてきた、しげるちゃんの対談シリーズ第6弾です。
(聞き手:しげるちゃん/文:横畠花歩)
右:野沢 和香(のざわ わか)
モデル・ヨガインストラクター、ファッションディレクター。トップモデルとして数々の雑誌で活躍後、2007年に全米ヨガアライアンスの資格を取得。ヨガインストラクターとして活動する傍ら、自身がデザイン・監修を手掛けるファッションディレクターとしても活躍している。
左:しげるちゃん
商品プロデューサー/インタビュアーとして活躍。CS局の旅番組にも多数出演、海外のファッション・流行などをナビゲートしている。元男子サッカー日本代表長谷部誠選手の著書『心を整える。』のプロデュースも手がけた。
SNSではテーマを大事に。“いいね”4からの快進撃
さて、前回は、和香ちゃんが物事を決定してきた『軸』みたいなことについて、いろいろと聞いてきたけど、今回はファッションディレクターとしての顔について聞きたいと思ってます。いまやSNSのフォロワー数も10万人に届く勢いだけど、フォロワーさんが増えたきっかけは何だと思う?
人柄が出ているとか、何か秘訣があるのかと思うんだけど。SNSはいつからはじめたの?
海外の友人が多いこともあって、わりと早い段階からはじめたんですよ。
いいえ、まったく!最初の頃は、“いいね”が4件とかだったんですよ。断崖絶壁でヨガしたりしてたのに(笑)。鳴かず飛ばずの状態から、友達が一緒に写った写真を投稿したりすることで、少しずつフォロワーが増えましたね。
フォロワーが増えるのって、個人の力だけじゃなくて周囲との相乗効果が発揮された結果、増えていく感じがあるよね。コラボがうまい具合にいくと、1+1=2じゃなくて、1+1=50にも100になる感覚というか。
SNSって、好きなものが似ている人をつないでくれるじゃないですか。だから、近い感性の人たちが集まってくれている気がしますよね。
何か投稿する上で守っていることとか、決めていることってある?
私のページを訪れた人に、何かを得てもらうためのテーマ決めは意識しています。ラーメンとかメイクとか、一貫したテーマの情報を与えてくれる人たちもいますよね?私の場合は、人とハッピーを共有するような投稿内容と、気持ちが明るくなる+αを提供できるよう心掛けてます。
画面越しに伝わる、とめどない情熱
今や『コラボの女王』といっても過言ではない和香ちゃんだけど、自身のSNSを通じて商品をお客様に知ってもらう、買ってもらうというプロセスのなかでは、特にどういう点にこだわってるの?
リアルに自分が絶対に欲しくて、絶対に使うものしか作らないですね。
すごくよく分かる!最初からコラボでの物作りは上手くいったのかしら?
そんなことはないです。メーカーとの打ち合わせで言いたかった言葉を飲み込んだ結果、商品がまったく売れなかった経験もありますよ。
私の一言で、企画をひっくり返しちゃうのが怖かったり、関わった人たちにどう思われるんだろうとか気にしちゃったんですよね。その一件ですごく反省して、誰に何を言われても自分が納得して欲しいものしか世に出さないと誓いました。
『売りたい金額』が『実際に買ってもらえる金額』なのか?とかとか……。商品作りは、考えだしたら大変。
決められた範囲のなかにはさまざまな限界があるんだけど、期限に合わせて妥協はせず、自分が欲しいと思えるまで「うん」とは言わないです。自分が神経を注いで愛しているものだけを提供して、実際にそれを気に入って、毎日着ている様子を画面越しに見てくれる人には、この熱が伝わってるんじゃないかなって思います。
インスタやブログとか、それがSNSの画面越しだったとしても、絶対的な熱量が伝わってくることってあるよね。
物に込めた想いは、パッションで伝わるって思ってるんです。発言を遠慮して作ったものは売れない。商品は、もはや自分のこどもみたいなもので、商品づくりの過程では自分の体裁を気にしている場合じゃない。
わたしは誰もに愛される子を生み出したいし、たとえ誰と戦うことになっても、私が守ってあげるよという気持ちでいます。最初の経験を省みてからはそういう姿勢で取り組んでます。
想像して、創造して。「どこまで自分でやっちゃうの」
和香ちゃんの、“生み出すもの”に対する熱量がすごく伝わってきた!そこまで熱中できるのは、ある意味オタク気質だね(笑)。
鬼オタですよ!わたしはその商品の「親」のつもりなんで、プロダクトを作るだけじゃなく、PR用の画像や動画も頭のなかで描いてから、カメラマンさんに撮ってほしいカットなど、具体的に指示を出してます。
ビジュアルのイメージまで頭で描いて商品を送り出す人って、なかなかいないんじゃない?別の人が担う仕事という印象があるけど。ちなみにコラボをするときは、自分から提案をするの?それとも企業側からオファーを受けるの?
両方というか、本当にいろんなご縁がきっかけで実現できていますね。
例えば、9月2日にローンチした和香ちゃんの新ブランド『HEREIAM(ヘレイアム)』のヨガ(スポーツ)ウェアのコンセプトは、どんな瞬間に生まれたのかしら?
たくさんの人にスポーツのよさを伝えたい!人が自然とからだを動かしたくなるようなウェアが作りたい、というのがきっかけです。わたし自身ヨガにすごく助けられてきたけど、からだを動かすことで心のどこかが救われているんです。
ブランドのコンセプトにもある、“いつだってからだが心をリードする”感覚をみんなにも体験してほしくて。ブランド名は『私はここにいる』の“Here I am”をHEREIAM(へレイアム)にしました。
大切なものって外側に探しがちだけど、すでに自分の内側にあって、それが『ここにいるよ♩』って語りかけてくるような感覚を名前に込めました。かわいい、というのが手にとるきっかけでいいんです。実際に着て、からだを動かすことで、健康な人が増えるといいなと思ってます。
素敵だね、からだと心のつながりをよく理解している和香ちゃんだからこその発想だね。女性に寄り添ったコンセプトが、すごく印象深い。youtubeの配信やインスタでも、ヨガを配信したりしているのを見ていても、ゴールの設定が自分じゃなくて、“みんなの健康”が基準に設定されてることがよくわかるね。
以前はパソコンも持ってなくて、ただただ使命感と情熱だけをもとに、全部自分で調べて実行してきました。どちらかと言うと、苦手分野のはずなのに(笑)。
「どこまで自分でやるの」と人には呆れられているけど、向き合える限りを自分ひとりでやってきました。情熱が切り開く道もあるということを、みんなには知ってもらいたいですね。
撮影協力:アロハテーブル代官山
■プロフィール
野沢 和香(のざわ わか)
神奈川県出身。大学卒業後にモデルとしてデビュー、数々の雑誌に掲載される。現在はヨガインストラクターとしても活躍しており、スタイルにとらわれない、日々の生活に活かせるヨガを提案。ヨガにまつわる書籍も手がけている。また、アパレル企業とのコラボアイテムでは、自身がデザイン・監修を務めている。
自身でプロデュースしたアパレルブランド『HEREIAM』の公式instagram:@hereiam.official
野沢和香さんのInstagram:@wakanozawa
しげるちゃん
商品プロデューサー/インタビュアーとして活躍。芸能人やタレント、モデル、スポーツ選手など、様々な業界の著名人との交流が深く、自身がプロデュースするアイテムは、そんな多くの著名人が愛用することで知られ、メディアやSNSでも話題に上がる。また、CS局の旅番組にも多数出演、海外のファッション・流行などをナビゲートしている。
Instagram:@shigeru39