働きながら世界を目指す!20代のひらめさんが「今こそチャンス」だと語る理由
ソフトボールに明け暮れ、インターハイ優勝経験もある高校時代から一変、大学、そして社会人ではスポーツから離れていた平柳美月さん(以下:愛称である“ひらめ”さん)。前編では、そんな彼女がスポーツを再開したターニングポイントと、世界を目指すことになった競技・トライアスロンとの出会いについて話を聞きました。
(取材・文・撮影:岡田隆太郎)
学生時代の私とスポーツの関係性
ースポーツとの出会いはいつですか?
小学3年生の時です。男子の中に1人だけ女子メンバーとして、少年野球チームに参加していました。兄が野球をしていて、よく試合を見に行っていたのですが、他のチームで活躍している女の子を見て”かっこいい”と感じたのがキッカケです。その後、中高ではソフトボール部に所属し、高校3年時にはインターハイ優勝、優秀選手賞を受賞しました。
ー大学以降はスポーツと関わりが少ないですよね。
ソフトボール自体は好きでしたけど、オリンピックを目指すとか、実業団に入るほどの実力やセンスはないと考えていました。もちろん続ける選択肢もあったんですが、残念ながら私が入った大学にはソフトボール部がなくて。これまで本気でやってきた競技を、サークルでゆるくやるつもりもなかったので、1度離れる決断をしました。
ー心残りはありませんでしたか?
高校時代に完全燃焼したので、心残りはなかったですね。好きだし続けたい気持ちはありましたが、冷静に将来のことを考えると、当時はソフトボールを軸にする選択肢はなかった。大学時代は一旦スポーツから離れて、別の学生活動に尽力していました。
ー就職時も“スポーツ”に携わる考えはなかったのですか?
スポーツを通した教育や人間形成には、今も興味があります。現段階ではその道を仕事としては選んでいないだけで、今後そうなる可能性は大いにあるかなと。
ただ、その仕事でお金を稼ぎたいというよりは、あくまで”教育”に関わりたい想いが強いんです。それこそ、練習中にアドバイスをする場面も、ひとつの教育ですよね。形式にこだわりがないので、どういう関わり方がベストかは、不確定要素が大きいかもしれません。
時間がある今だからこそ、できることをやろう
ー1度は離れたスポーツを再開した理由を教えてください。
なんとなく、怠けている自分が嫌になったんです。高校の頃は気を抜く暇がないくらいソフトボール漬けだったので、それに比べたら今はかなり余裕があるなと。もっと自分を追い込めるのにもったいないと感じ、ひとまずフルマラソンの大会にエントリーしてみました。
ーなぜフルマラソンを?
大学時代からずっと挑戦してみたかったんです。初めてのフルマラソンは5時間以上かかりましたが、後半歩きながらも無事ゴールできたことが嬉しく、ひとつの自信になりました。ここで終わらせずにランニングを継続していきたいと思って、次の大会にもすぐエントリーして、“毎月フルマラソンを1本は走る”という目標を立てて走り続けました。
ー毎月…!
大会がない月は、自分でコースを決めて42.195キロを走りました。コースを“山手線1周”に設定したこともあったんですが、その時は50キロくらいになっちゃって(笑)。それ以降も2017年5月から2年半、毎月欠かさずに走り続けています。
ープロでも毎月フルマラソンを走るのは難しそうです。
毎月レースに出て順位を競うとなれば大変でしょうけど、私はただ42.195kmという距離を走っているだけなので、そこまで難しくない気がします。20キロ地点でランチを食べて戻ってくるなど、1日トータルで42.195キロ走ることだけをルールに、ゆるく継続するしているだけです。
ーモチベーションはどこから湧いてくるんですか?
もともと私は、コンプレックスの塊なんです。でも、スポーツをすると自己肯定感が上がるし、心とからだの健康のためにもいいと考えています。もともとからだを動かすことは好きでしたし、継続できていることが自信につながるのも、私の場合は大きいと思います。
“社会人”をしながら、世界を目指す
ー本題でもある”トライアスロン”との出会いについてお聞かせください。
もともとトライアスロンへの興味はあったんですが、挑戦するきっかけがなくて。たまたま飲みの場で出会った競技者の方に誘っていただき、一緒に大会に出場することを決意しました。ただ、スイム・ラン・バイクをバランスよく練習しなければいけないので、働きながらだと時間の使い方はかなり試行錯誤しました。
ーなるほど。
練習していくうちに、少しずつからだが変わる感覚は楽しかったですね。初めて出た大会では、年代別で2位を獲ることができました。その後も働きながら練習を続けて、表彰台に乗り続けることができ、それを周りの人が見て、『ひらめちゃんなら世界も目指せるんじゃない?』という話までいただけるようになったんです。
ーすごいじゃないですか…!
社会人になってから新しく始めたスポーツで、世界を目指せるなんて想像もしていなかったです。でも、戦えるチャンスがあるなら挑戦してみたいと、純粋に思いました。本当にいけるの?と不安もありましたが、周りの人が手の届く範囲にいることを教えてくれて、自信になりました。ポテンシャルだけではなく、一生懸命練習に取り組む姿を見て、“その頑張りがあるならいけるよ”と言っていただけたのが何よりも励みでした。
ーたしかに、頑張りを認められた上での提案は嬉しいですよね。
「世界」というワードだけ聞くと遠く感じますが、今こそチャンスなんです。トライアスロンは、お金も時間もかかる競技なので、若年層の競技人口はそこまで多くないですし、特に20代女子は少ない。このタイミングだからこそ、今の実力でも世界を狙いやすい位置にいるというのは大きかったです。
ー具体的にはどのようなステップで世界を目指していくのですか?
現段階で私が目指しているのは、世界選手権への出場資格の獲得です。トライアスロンの世界選手権は、ショートからロングまで、距離ごとに別の世界大会があるのですが、今はすべての距離を視野に入れて準備しています。
中でも可能性を感じているのはロングの距離です。短い距離の大会だと経験者が優位なんですが、長距離だとバランスよく強化しなければいけないので、未経験の初心者でも勝てる余地があるんです。
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■プロフィール
平柳 美月(ひらやなぎ みづき)
中学校から始めたソフトボールで、高校時代はインターハイに出場。その後、1度はスポーツから離れた生活を送るも、2017年より再開。トライアスロンと出会い、現在は世界選手権出場を目標に日々練習中。等身大のメッセージが伝わるSNSも人気。
Instagram:@__hirame
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