長谷川唯「代表じゃなくても、サッカーは楽しい」五輪延期でも笑顔の理由

長谷川唯選手の写真

「今、毎日を楽しく過ごしています」ー。女子サッカー日本代表・長谷川唯選手は、自身の活躍が期待されていた東京2020オリンピックの延期が決まっても、いつも通り笑顔で生活できていると言います。楽しみにしていたはずの大舞台がなくなったのに、なぜ・・・?

多くの有名アスリートのプロデュースを手がけてきた、しげるちゃんの対談シリーズ第一弾!長谷川唯選手がどんな時でも前向きに過ごせる理由を聞いてみました。

しげるちゃんと長谷川唯選手の写真

(聞き手:しげるちゃん/ 文:小田菜南子

 

長谷川 唯(はせがわ ゆい)

日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属する女子サッカー選手。19歳で初めて日本代表に選ばれ、所属チームとしてもリーグ五連覇を経験するなど、女子サッカーの未来を背負って活躍中。

 

しげるちゃん

商品プロデューサー/インタビュアーとして活躍。CS局の旅番組にも多数出演、海外のファッション・流行などをナビゲートしている。元男子サッカー日本代表長谷部誠選手の著書『心を整える』のプロデュースも手がけた。

 

ピッチの上でも普段通りのメイク

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しげるちゃん
今日はよろしくお願いします。長谷川選手、小柄で華奢で可愛い。あれ、今日はメイクしてる?普段からよくメイクはする方なのかな?
長谷川選手
はい、私は練習や試合のときでも昔からメイクをしています。気分でアイシャドウの色を変えたり。
いつくらいからメイクに目覚めたの?
大学2年生くらいですかね。
しげるなんて最近、仕事でメイクを覚えたのに(笑)。サッカーの練習や試合では、アクセサリーは無理だけど『メイク禁止』っていうルールはないものね。
そうですね。金具はつけられないですが、メイクは気分もあがるので!特に練習や試合だから薄くするとか、逆に普段は濃くするとかもないです。

 

数少ない女子のプロ契約選手として感じる、男子との差

長谷川唯選手の写真

しげるちゃん
今はプロになってどのくらい?
長谷川選手
今年で2年目です。
長谷川選手は、女子サッカーの中でもプロとして契約をしているけど、逆にそうじゃない選手たちも女子サッカー界の中には多いのよね?自身がプロとしての選択をした理由って何かしら?
昔からサッカー1本で生きていきたいと思ってやってきたので、そのチャンスがあったから掴んだって感じですね。悩んでプロの道を選んだのではなく、それが自分にとっては当たり前のあり方でした。
女性のプロ選手は少ないと思うんだけど、そういう環境は長谷川選手にとってはどう映っているの?
他に仕事をしている人も多いので、練習時間が18時とか夕方からのスタートになってしまうんです。家に帰る時間も遅くなるので、男子と比べるとコンディショニングの面で環境の差が表れるのかなと思います。

長谷川唯選手の写真

そこはチーム競技ですもんね。
男子は午前練のあとはからだのケアをしたり、二部練ができたりするけど、女子はなかなか難しいですよね。
チーム練習がある夕方までの時間はどうやって過ごしてるの?
週に2、3回はフィジカルコーチについてウェイトトレーニングとか、サッカーの練習とは別のトレーニングをしています。日によって、お昼や夕方まで何もしない日もつくってます。
最近新しく始めたこととかありますか?
最近は英会話を始めました。大学時代から、ドイツ語は少し勉強していたんですが、今はちょうどオンラインのレッスンも多いので。
えらーい!しげる、時間があったらだらっとしちゃう!
私もだらっとします(笑)。結構、何もしない時間も好きなんですよね。ただただ寝っ転がってたら、いつの間にか夕方、みたいな日も好きです。

 

代表として戦うことだけがサッカーじゃない

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しげるちゃん
今の状況だと、練習や試合がなくなり、この先(将来)が不安っていう選手も多いと思うのだけど、こうやってお話を聞いていると、長谷川選手からはネガティブな気持ちは全く感じないよねっ。
長谷川選手
もちろん、早くサッカーしたいって気持ちはありますけど、ストレスはないです。たまにはこんな生活もありかなって、毎日楽しく過ごせています。
小さい頃から休みを返上して、練習に明け暮れていたプロアスリートにとって、こんなに自分時間がある期間なんてないんじゃないかな?
そうですね。英会話を始めたのも、今将来のためにできることをしたくて。海外で活躍している選手を見ていると、やっぱり語学は大事だなと思うので、そういう時間が持てているのは嬉しいです。
オリンピックも延期になっちゃったけど、ショックはなかった?さすがの長谷川選手でも、考え込むこともあったんじゃないかしら。
う〜ん、実は本当に全くなくて。
うそ〜!(笑)。

長谷川唯選手としげるちゃんの写真

周りにも「本当落ち込むことないよね」って言われるんです。そもそも、オリンピックでモチベーションを保っていたわけではなかったんですよね
どういうこと?
オリンピックはモチベーションの一つではあったけど、ただ毎日サッカーをしているだけでも楽しいから、頑張ってモチベーションを保っていたんじゃないんですよね。自然と毎日サッカーの面でやるべきこととか、クリアしたい壁とかがあるので、勝手にモチベーションが保たれている状態です。
「モチベーション管理術」みたいに意識的にするものではないってこと?
そうですね。1つの目標がなくなっても、別の目標があるので。
なるほどね!昔は代表に選ばれて、W杯に出ることを目標としてモチベーションを上げていた選手も多かったと思うのだけど、大会が終わった後に『燃え尽き症候群』が訪れる人もいると思うの!

でも、長谷川選手の場合は、日々の練習や試合の中に努力すれば超えられる壁を設定して、日々努力を繰り返す結果、代表→五輪→W杯が叶うといいって考え方なんだねっ。

はい、もし代表に選ばれなくても、楽しくサッカーをしていると思います。
それは長谷川選手だけではなく、女子サッカー全体的にもそういう選手が多いのかな。
相当サッカーが好きじゃないと、働きながら続けられないと思うんです。男子に比べれば環境は恵まれていないかもしれないけど、気持ちの強い選手が残っていく環境でもあると言えます。それが女子の強み。だから、大会がなくなったからといって気持ちが途切れる選手は少ないんじゃないかな。
男子選手の方が、この状況に不安を抱えてる選手も多かったりするのかもね。
友達の男子選手を見ていると、ストレスを抱えている人が多く見えますね。

 

未来の女子サッカーのために発信を

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しげるちゃん
今、『#つなぐ』プロジェクトと言って、マスクなどの配布や子供たちとのトークセッションなどの活動をしているけど、75人の参加選手の中で長谷川選手は紅一点だよね。
長谷川選手
正直、普段の活動や発信を見ても、男子のほうが大きく取り上げられやすいのが現実です。その中に私が入ることで、普段届かない人にも見てもらえるチャンスもあると感じています。
先日の、小さいお子さんたちとの『#つなぐトーク』 はどうだった?
想像していた以上にたくさんの質問がきてびっくりしました!恥ずかしがって質問できない子が多いんじゃないかと心配していたんです。でもみんなすごく積極的で、憧れてもらえてるのかなって。
同じ夢を持つ、未来のサッカー選手たちとトークで『つながる』って嬉しいね~。
今までもサポーターの方たちとの交流はありましたけど、そういえば子どもたちとの交流は少なかったと気づきました。普段、私が試合や練習をしている時間には、彼女たちはあまり見にくることができないんですよね。
たしかに、練習は夜だし、試合があるのは子どもたちも練習している時間ですもんね。
だから、もっと小学校訪問や、サッカー教室を開いて、多くの子どもたちに会いに行きたいですね。自分の経験を伝えることで、女子サッカーの未来にもつながっていくと思うので。

長谷川唯選手の写真

女子サッカー選手を志す人が増えることで、きっと将来の女子サッカーの立ち位置も変わっていくはず。
私の所属チームは日テレ・東京ヴェルディベレーザという、なでしこリーグで5連覇中の強豪です。その選手として発信をすることの価値の大きさも自覚しています。

でも「私なんかが」と、発信する勇気を持てていない選手もいます。絶対に誰かのためになっているんだという気持ちを持って行動していくことで、環境は変わっていくはずです。

さっき話していた、女子サッカーの『強み』をもっともっと活かしてほしいよね。
そうですね。「誰かのために」という気持ちが強い選手が多いんですよ。優勝した2011年のW杯では、東日本大震災の直後で「日本のために」という気持ちが大きかった。そうした強さを、今まさに発揮するタイミング。私もその動きを引っ張っていきたいです。

 

■プロフィール

長谷川唯選手の写真

長谷川 唯(はせがわ ゆい)

日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属する女子サッカー選手。19歳で初めて日本代表に選ばれ、所属チームとしてもリーグ五連覇を経験するなど、女子サッカーの未来を背負って活躍中。おしゃれなメイクやファッションにも注目が集まる。

株式会社UDN SPORTSが手掛ける「#つなぐ」プロジェクトにも参画。ファンや子どもたちとのオンライントークセッションなどを通じて日本中に元気を届けている。絵本の読み聞かせプロジェクト「#savewithstories」にも参加。

Instagram:@yui___hasegawa
Twitter:@maybe10_

 

しげるちゃんの写真

しげるちゃん

商品プロデューサー/インタビュアーとして活躍。芸能人やタレント、モデル、スポーツ選手など、様々な業界の著名人との交流が深く、自身がプロデュースするアイテムは、そんな多くの著名人が愛用することで知られ、メディアやSNSでも話題に上がる。また、CS局の旅番組にも多数出演、海外のファッション・流行などをナビゲートしている。

Instagram:@shigeru39

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