血糖値スパイクの対策は?ダイエットにもスポーツにも悪影響の理由
こんにちは。管理栄養士の佐藤彩香です。
最近よく聞く「血糖値スパイク」という言葉。みなさんはこの言葉の意味とそれが私たちのからだにどう関わっているのかご存じでしょうか?今回はその血糖値スパイクと日々のコンディションの関係についてお話していきます。
「血糖値スパイク」とは?
食後の短時間に急激に血糖値が上昇し、急激に下がるのが「血糖値スパイク」です。この症状が体質的に出やすい人と出にくい人がいるのですが、空腹状態で受診することが多い健康診断では、見つかりにくい特徴です。結果に異常がなかったからと過信せず、日頃の体調や生活習慣などから自分の血糖値について意識することが大事になります。
血糖値スパイクが、からだに及ぼす影響
血糖値が急激に上がり、下がる際に軽度の低血糖を起こすことがあります。低血糖とは糖尿病治療中に見られる症状ですが、健康診断では異常が見られない方でも、高糖質で血糖値を急上昇させる食品をとることで血糖値の急上昇&急降下が起こり、軽度の低血糖の症状が表れることがあります。
からだに及ぼす影響として
- 交感神経刺激症
- 心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上昇
- 糖尿病に移行・重症化・がんにもつながる
- 認知症の一因に
不安、動悸、頻脈、頭痛、眼のかすみ、空腹感、イライラ、眠気などの不調が起こるリスクがあります。
血糖値スパイクの繰り返しで血管の壁がボロボロに傷つき、動脈硬化が進行することになります。それが心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすリスクを上げてしまいます。
これを繰り返して放置すると糖尿病に移行することも。またがん細胞の増加にもつながるリスクもあります。
インスリンの過剰がアルツハイマー型認知症の原因とされる「アミロイドβ」の蓄積を促し、認知症を進行させる一因になるリスクがあります。
スポーツをする上でのリスクも
血糖値スパイクはアスリートの運動パフォーマンスにも影響を及ぼします。交感神経刺激症状が起こるとからだの不調を感じます。イライラすることや眠気を感じることが、競技をするうえでのコンディションがダウンする原因にもつながるのは想像つくかと思います。また空腹感を感じやすくなるのは、ウエイトコントロールを行いにくくなるリスクもありますね。
また、血管壁がボロボロになると、細胞から大量の活性酸素が発生することで血管や細胞を傷つけます。活性酸素はからだの炎症や疲労感にもつながりやすく、怪我のリスクにもつながります。紫外線や過度な運動、プレッシャーやストレスなどでアスリートは活性酸素を一般の方よりも多く発生させてしまうので、血糖値スパイクでより活性酸素を生んでしまうことは避けたいところ。
どうしたら血糖値スパイクは起こらない?
- ベジファースト
- 欠食をしない
- 咀嚼をしっかりすること
- GI値の低い食品を意識して
野菜や海藻、きのこ類を食事の最初に食べる「ベジファースト」。野菜や海藻、きのこ類に入っている食物繊維が、腸に栄養吸収のクッションとなる膜のような状態をつくり、糖の吸収をゆるやかにして、血糖値スパイクを防いでくれます。
長い空腹は食後の血糖値の上昇の原因に。例えば朝食を抜くと昼食後に血糖値スパイクが起こりやすくなります。三食しっかりとることが難しい場合は、さっと食べられる間食をとる「補食」をうまく使っていきましょう。
しっかり噛んで、ゆっくり食べると血糖値の急上昇が抑えられ、血糖値スパイクの予防になります。
GI値(グリセミックインデックス)は、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示す指数のこと。糖質の消化(分解)から吸収までの速度は食品によって異なります。GI値が低いほど糖質の吸収がおだやかになり、血糖値の上昇もゆるやかになります。逆に高GIの食品を食べると、一気に血糖値が上昇します。
たとえば、全粒粉を使ったパンは、精製された小麦粉を使った白パンよりGI値は低いです。ご飯も同じ考えで、玄米や雑穀米の方が精白米よりもGI値は低いです。果物や、野菜の中では糖質が多いとされる根菜類も、食物繊維が多いため白米や白パンに比べるとGI値は低いものが多いです。
また砂糖はGI値がどうしても高くなります。
菓子パンやお菓子などの砂糖を原料にしているものの食べすぎには注意しましょう。
飲料を選ぶ際も、原材料を見て、「ブドウ糖」「砂糖」などの文字があるものはすぐに血糖値が上がります。食べ物を選ぶ力を身につけていきましょう。
アスリートは時に早いエネルギー補給が大切なときも
血糖値スパイクを防ぐための日常的なポイントとしては上記の4つとなりますが、アスリートやハードな運動をするスポーツ女子は、運動で枯渇したエネルギーを早く回復することが大事な場合もあります。特に試合の前後や合間にはあえてGI値が高めのものを選んでいく必要があります。タイミングによって正しい食事をとれるようになると、運動パフォーマンスも安定します。
「血糖値スパイク」の正しい理解やコンディションの影響などをしっかり把握して、よりよいコンディション作りを目指しましょう。
プロフィール
佐藤 彩香(さとう あやか)
企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。健康を土台とした実践型の栄養サポートを行ない、プロアスリート~スポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5000人を超える人々と関わる。
現在はパーソナル栄養サポート、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行ないながら、「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。