食習慣の改善は3か月かけて。自分に合う食事に出会うには。
モデルやアスリートの食事法を真似してみるけど、なかなか思うような効果が出ない。トレーニングも続けているのに、体型に変化がない。
そんなときはつい焦ってしまいがちですが、即効性のある方法を求めず、時間をかけて自分に合った食事を探すようにしましょう。
今回は、バドミントンの桃田賢斗選手や、プロサッカープレイヤー香川真司選手の専属栄養士である吉村俊亮さんに、情報に振り回されずに自分に合った食事を見つけるヒントを伺いました。
(取材・小田菜南子、文・吉林千景)
■ 教えてくれる人
管理栄養士/吉村俊亮さん
日本国内外で活動する管理栄養士。福岡県を中心に、プロアスリートから一般の方まで、トレーニング&栄養サポートを個人・チーム問わず行なっている。 また、教育機関で非常勤講師としてスポーツ栄養学を担当し、大学でジュニアアスリートの健康と栄養についての共同研究に従事。セミナーや講演会も担う。海外では、トップアスリートの専属管理栄養士として、献立作成から調理・提供などアスリートの食と栄養のサポートをしている。
腸の不調を放っておくのはNG、それは食事改善のサイン
①過去の栄養バランスの見直し
②食事改善
③経過観察→メンタルの状態と便のチェック
④良い効果があれば継続、不調があれば改善
便のチェックでは、便の様子と排泄回数をチェック。腸の消化吸収能力がどう変化しているかを観察します。食事が合っていなければ消化吸収がうまく行われなくなり、便が緩くなってきます。
食べ物の消化吸収は小腸で行われており、胃は食べたものが滞留しているだけです。そして、そこで吸収されなかったものだけが大腸へと運ばれます。
食べた後にお腹がゴロゴロしたり張ったりする場合は、食べ物が小腸で消化吸収されずに大腸に運ばれているサイン。脳にダイレクトに信号が送られ、全身の不調につながるケースもあります。
これを避けるためにも、食事改善は体調を確認しながら慎重に行なっています。
急な食事改善は危険。緩やかなシフトチェンジがポイント
改善した食事が身体に合っていたのであれば、良い効果が大きく出ますが、もし合っていなければ悪い効果も大きく出ます。
効果の出方にも個人差があるので、サポートする場合は「0→10」の変化で大きな効果を狙うのではなく、「0→3→6→10」と段階的に食事を変えていくように心がけています。
急激な変化ではなく、緩やかなシフトチェンジが大切になります。
女性の中には、体重を落としたいと糖質制限に取り組む方も多くいます。ただ、これも注意が必要。もし実践するのであれば、一気に三食糖質を抜いたり、制限したりすることは体への負担が大きく、避けていただきたいです。
まずは、三食のうち一食だけ糖質を制限する。様子をみて体の調子がよかったら、次は三食のうち二食を制限してみる。自分の体調を見ながら進めていくのがベストです。
また、制限といってもいきなり0にするのではなく、今までの量から少しずつ減らしていく。少しずつ体を慣らしながら、食事改善を実践していきましょう。
2、3ヶ月は覚悟。食事改善の効果はすぐ現れない
各組織によってばらつきがありますが、体全身のタンパク質が半分入れ替わるのに必要な時間は180日ほど。
食べる食材を変えても、それが体を作っている各組織に反映されるには時間がかかります。そのため、2、3ヶ月のスパンで体調の変化を観察しながら、自分に合った食事法を探る必要があるのです。
もし、食事法が体に合っていなかった場合は、悪い体調変化が現れてきます。
組織の入れ替わりの点で言えば、完全な「ヴィーガン」になるためには時間が必要です。摂取するタンパク質を全て植物性に変えて完全な「ヴィーガンアスリート」を目指すのであれば、最低でも1年を要します。それは、人体を作っているタンパク質が半分入れ替わるのに最低半年が必要だからです。
食事改善はガラッと食事を変えたからと言ってすぐに効果が出るものではないので、時間をかけて辛抱強く行なっていきましょう。
まとめ
食事改善の効果を求めて、急激に食事を変えるのは危険です。体調と相談しながら、緩やかにシフトチェンジするのがポイント。
ネットなどで手に入れた情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、いろいろと試して体の反応を見ながら、自分に合った栄養を取り入れるようにしていきましょう。
吉村さんにはこの記事でご紹介した内容だけでなく、女性に役立つ知識をたくさん教えていただきましたので、続編を皆様にお届けする予定です。