MCTオイルはどうとるのが効果的?スポーツ女子の脂質改革
スポーツ女子にとっての脂質の重要性を考えていくシリーズ、『スポーツ女子の脂質改革』。今回のテーマは、最近よく聞く「MCTオイル」。
なぜ注目されているのか?運動する人へのメリットは?スポーツ栄養士の佐藤彩香さんに伺います。
おさらいー脂質の役割り
脂質の役割は以下の通りです。
・エネルギー源
・ホルモン、細胞膜、核膜を構成
・皮下脂肪として、臓器を保護したり、からだを寒冷から守る
・脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促す
など様々な働きがあります。
脂質=体脂肪など嫌なイメージが大きいかと思います。ただ今は脂質は避ける時代ではなく、選ぶ時代です。詳しくは下記からご覧ください。
なぜ、MCTオイルが注目されているのか
様々な脂質の種類がある中で、最近よく流行っているMCTオイル。今回はMCTオイルについて解説していきます。
MCTオイルとは
MCTオイルとは中鎖脂肪酸の油のことです。上記の油の説明では、飽和脂肪酸にあたり、天然のココナツオイルや、バターに含まれています。
MCTオイルは、肝臓に直接取り込まれて代謝されるため、脂肪として体内に蓄えられにくい性質があります。体内での代謝が速く、長鎖脂肪酸(オリーブオイルに含まれている不飽和脂肪酸に多く含まれる脂肪酸)とは異なり、瞬時に吸収され、即効性のエネルギー供給源となりやすいです。
また、適切な摂取方法とその他の栄養バランスを整えることにより、ケトン体(脂肪を分解して生成されるエネルギー物質)を作り出すため、速やかにエネルギー源として、糖質の代わりに脂肪が燃焼されやすい身体に変化することも期待ができます。
専門用語でケトーシス(ケトン体が血液中に増えた状態)を引き起こすことができるともいいます。
MCTオイルについては研究が世界的にも進んでいます。
2015年の米国栄養士会誌に掲載されたレビューによると、長鎖脂肪酸の代わりにMCTオイルを摂取すると適度な体重減少が見られたなどのデータもあります。
とはいえ減量に効果的な用量を定めるためには、さらなる研究を重ねる必要だと思いますし、これからどんどん研究が進むと様々なものが見えてくると思います。
スポーツ女子に人気が高まっている理由
MCTオイルがスポーツをする方に好まれる理由として、
①速くエネルギーに転換される
②体脂肪を減らす
③持久力や疲労回復効果
などの効果への期待があげられます。
①はさきほどの説明でお分かり頂けるかと思います。
②の理由として、体内の脂肪を燃焼してエネルギーに変換する「ケトン体回路」が活性化し、脂質が主力エネルギー源として使われるようになります。そのため体脂肪を減らしやすくするということです。
③は、ケトン体回路で脂肪が優先的に代謝されるので、今までエネルギーとして使われてきたブドウ糖やアミノ酸が温存され、持久力向上や疲労回復の向上などに良いという研究データもあります。
ただ、まだ研究データも浅いため、今後の新しい研究内容の発表に注目していくことが大事になるかと思います。
私のお勧めの取り入れかたは、いままで使っていた油をMCTオイルに置き換えてみるという方法です。
MCTオイルはあくまでも飽和脂肪酸なので、コレステロール値や心臓の健康のためにも過剰な摂取は避けたいところ。結果的にカロリーオーバーになってしまう可能性もありますし、とりすぎはよくありません。
また、食事自体を変えずにMCTオイルを足すだけでは、ダイエット効果は期待できません。食習慣も一緒に変化させることが必要になります。
そのため、まずは一日の油の摂取量を大きくは変えないよう、ドレッシングや料理の仕上げに使う油をMCTオイルに変える方法から、からだの変化を感じていくのがいいのではないでしょうか。
MCTオイルを使ったドレッシングレシピ
MCTオイルは熱に弱いので、加熱して使うのはやめましょう。炒め物、揚げ物などの調理には不向きです。
・マリネ
・ソテーした野菜
・キャロットラぺ
などさっとオイルをかけて食べるものにMCTオイルを使ってみましょう。
もちろんサラダのドレッシングにもよいですね。
黒酢 大さじ3
MCTオイル 大さじ2
甜菜糖 大さじ1/2
塩、コショウ 適量
をすべて混ぜ合わせる
毎日とるサラダドレッシングの質が変わるだけでも、継続することでからだにいい影響が期待できます。
MCTオイルは良い面もありますが、結局油なので、とりすぎてしまっては意味がないです。また、目的や体格などによってベストな摂取量は変わりますので、良さそうだからといって今の生活にただ取り入れるだけが良いというわけではないのです。しっかり種類や働きを理解したうえで、生活に徐々に取り入れ、からだの変化を感じることをお勧めします。
■プロフィール
佐藤 彩香(さとう あやか)
企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。健康を土台とした実践型の栄養サポートを行い、プロアスリート~スポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。現在はパーソナル栄養サポート、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行いながら、「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。