筋肉づくりは食事もセットで!筋力アップの食事法とは?
筋肉をつくるのはトレーニングだけではありません。すでにトレーニングに励んでいる方も、これから始める方も、食事の重要性を改めて確認しましょう! 今回は、フィットネストレーナーであり管理栄養士でもある加藤潤也さんに、筋肉づくりのための食事について教えてもらいました。
たんぱく質は筋力アップに欠かせない!
たんぱく質は、3大栄養素のひとつであり、筋肉や内臓、爪、髪、骨などを作るもとになります。特に筋肉を作る際には欠かせない栄養素です。
体を自動車で例えるなら、たんぱく質は車体の原材料そのもの。いくらガソリンというエネルギー源を入れたところで、車体の基盤や強度がしっかりしていないと長距離を走ったり、急な発進をしたりすることはできませんよね。私たちも同様で、筋肉をつけておかなければ活動力は下がってしまいます。
筋肉のつけ方
まずは筋肉が発達する仕組みを理解しましょう。筋肉をしっかりつけるために、まずは筋トレをおこない、筋肉に負荷をかけましょう。トレーニング後に休息をとると、傷ついた筋繊維が修復する過程でトレーニング前よりも強く、太くなる「超回復」を起こします。
この時に重要なのが、修復に必要な栄養素であるたんぱく質を摂ることです。摂るタイミングは、運動直後45分以内が望ましいでしょう。この「ゴールデンタイム」では栄養の吸収率が高くなっており、たんぱく質を補給することで、筋肉が発達しやすくなります。
食品を選ぶときは、アミノ酸スコアを意識しよう
たんぱく質はアミノ酸という成分で構成されています。アミノ酸の中には、体内で合成することができない「必須アミノ酸」があります。この必須アミノ酸は、その名の通り体を構成するために必要不可欠なものである一方、食事によって摂る必要があります。
必須アミノ酸を摂るために意識したいのがアミノ酸スコアです。アミノ酸スコアとは、たんぱく質の栄養価を示す指標のひとつで、食品中に含まれている必須アミノ酸の種類と量から算出します。スコアが100に近いほど食品中に含まれる必須アミノ酸のバランスが理想的であり、逆に100から遠いほどバランスが悪いということになります。アミノ酸スコアが100に近い食品を選んで食べれば体内で効率よくたんぱく質が生成されるため、筋力アップの効率も高まります。
アミノ酸スコアが100の食品としては、牛乳、牛肉、鶏肉、豚肉、あじ、いわし、まぐろ卵などがあげられます。アミノ酸スコアは食品単体の評価ですので、たとえアミノ酸スコアが低い食品でも、他の食品と一緒にとることでスコアを改善することができます。
たんぱく質の吸収率アップ!ビタミン類も一緒に
より効果的にたんぱく質を体内に吸収するためには、ビタミン類も欠かせません。中でも、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCはたんぱく質の吸収を高めます。
また、アミノ酸の代謝やたんぱく質合成に関わるのがビタミンB6、B12です。野菜や果物に含まれていることはよく知られていますが、実は肉、魚、貝類、大豆などのたんぱく質食材にも含まれています。そのため、滅多に不足することはありませんが、肉の消化促進や食物繊維摂取などの観点から、たんぱく質食品と野菜類は一緒に食べることをおすすめします。
自宅でも外でも!筋力アップできる食事をご紹介
筋力アップのためには、日頃の食事選びも重要です。今回は管理栄養士でありフィットネストレーナーでもある加藤潤也さんおすすめのメニューを紹介します。
自宅で簡単に用意できる筋力アップメニュー例
・鶏むね肉のヘルシー青椒肉絲
アミノ酸スコアが100の鶏むね肉を野菜と一緒に食べましょう。
作り方
ニンニク・鶏むね・玉ねぎ・にんじん・ピーマン・しいたけを炒めて味をつけ、最後に片栗粉でとろみをつけます。
・マグロアボカド月見丼
アミノ酸スコアが100のまぐろを野菜と一緒に食べましょう。
作り方
マグロはしょうゆや胡麻ダレなどで下味をつけます。アボカドを混ぜ合わせたら温泉玉子と一緒にご飯にのせ、ゴマと海苔をふりかけます。
外食時でも筋力アップメニューを選ぶコツ
自炊できないときも、たんぱく質はしっかり摂りたいですよね。ポイントは、なるべく食材のかたちが残ったメニューを選ぶこと。
【和食】肉じゃがよりは豚の角煮
和食では丼ものや麺類ではなく、おかずが多い定食を中心に選ぶことで、十分な量のたんぱく質摂取が見込めます。しかし、ここで注意したいのが肉じゃがや筑前煮などの煮物です。野菜はたっぷり入っていますが、肉類は少量の場合が多く、たんぱく質量は少なくなりがちです。
煮物を食べたい場合は豚の角煮、肉豆腐、鶏の手羽先煮など肉類がメインの煮物を選びましょう。
【洋食】ハンバーグよりはステーキ
洋食ではハンバーグやコロッケよりも、つなぎを使わないステーキを選ぶようにしましょう。ハンバーグやコロッケは、パン粉やじゃがいものような肉類以外のつなぎが入ることで、たんぱく質量が少ない場合があります。そのため、食材のかたちが残ったステーキがおすすめです。なお、ステーキはサーロインよりヒレを選ぶことで、グラム当たりのたんぱく質量が多くなります。
パスタやピザを食べる場合はアミノ酸スコアが高い卵やハムなどのトッピングを追加するとよいでしょう。
【中華】餃子よりは唐揚げ
中華では餃子よりも唐揚げを選びましょう。餃子、肉まん、春巻きといった点心の具や餡に含まれる肉類・魚介類は少量になりがちなので、たんぱく質量が少ない場合があります。唐揚げや油淋鶏、蒸し鶏のような食材のかたちが残っているメニューを選ぶのがおすすめです。
まとめ
筋力アップのコツは「トレーニング直後にたんぱく質を補給」「アミノ酸スコアの高い食品を選ぶ」「たんぱく質の吸収率アップの食べ合わせを意識」の3点。しっかり意識して、効率よい筋力アップをめざしましょう!
監修者情報
- 加藤 潤也(かとう じゅんや)
- 管理栄養士、フィットネストレーナー
名古屋文理大学健康栄養学科卒業後、社員食堂、カフェ店長を経験。食事だけでなく、体づくりも学びたいと思い、フィットネス業界に飛び込む。食事と運動両面からの健康サポートに従事した後、フリーランスとして独立。現在は栄養指導、出張料理家、ライター、フィットネストレーナーとして活躍の幅を広げている。