その筋肉痛、筋トレして大丈夫?トレーナーが教える痛みの見分け方
筋肉痛の時こそ、さらに筋トレをして強い筋肉をつくろうと意気込む人は、多いのではないでしょうか。でもその痛み、本当にただの筋肉痛?今回は、オーバーワークを防ぐためにも、痛みの見分け方と筋肉痛との付き合い方について、パーソナルトレーナーの椎名優さんにお聞きします。
筋肉痛のメカニズム
筋トレや慣れない運動などで普段以上に身体に負荷がかかると、筋肉の繊維(筋線維)は細かな傷を負い、その後修復の時間を経て負荷がかかる前よりも強くなっていきます。
傷ついた筋線維は修復の過程で炎症を起こし、知覚神経に刺激を与えるため、筋肉痛が起こるのです。
また、脱水が原因で筋肉が硬くなり、その状態で身体を動かした結果、痛みを引き起こすということもあります。
筋肉痛?肉離れ?痛みの見分け方
筋肉痛には以下、2つの種類が存在します。
いずれも傷ついた筋線維の修復のために炎症を起こしている状態ですが、筋肉痛が48時間以上続く場合は、ケガに近い状態であると言えるでしょう。
即発性筋肉痛
トレーニング後、早いタイミングで(早ければトレーニング中)発症し48時間以内で収まる筋肉痛
遅発性筋肉痛
トレーニング後、数時間から数日後に発症し痛みが48時間以上続く筋肉痛
また、筋肉痛(特に遅発性筋肉痛)と肉離れや筋断裂などのケガとを見分けたい時には、以下の項目をチェックしてみてください。
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- 痛みが起こる前に、患部から「ブチッ」と音がしたか
- 見た目で患部がくぼんでいないか、内出血を起こしていないか
- 患部に力が入らないなど、部分的な脱力感がないか
- 患部が熱を帯びていないか
- 1週間経っても痛みが引く気配がない など
上記の中で1つでも当てはまるものがあったら、筋肉痛ではなくケガの可能性があります。医師の診察を受けましょう。
筋肉痛のときの運動について
前段のとおり、筋肉痛が起きているということは、傷ついた筋線維が修復をしている途中です。
その状況で筋肉痛がある箇所をトレーニングすると、痛みによって思うように力が発揮できない上、ケガのリスクも高まります。
筋力をつけるどころか機能低下を招く恐れがありますので、逆効果になってしまいます。
とはいえ、トレーニングは日課だから休みたくないという方は、筋肉痛がない箇所を鍛えるか、無理のない範囲でウォーキング、ジョギング、バイク、水泳などの有酸素運動を行いましょう。
近年は「アクティブレスト」も推奨されています。
「積極的な休養」という意味ですが、しっかり休んで次回のトレーニングに備えた方が良いことも忘れずに。
休養もトレーニングの内ですね。
筋肉痛やケガを引き起こさないために
筋肉痛になった=良いトレーニングができたということではありません。
少しでも筋肉痛やケガのリスクを軽減するためにも、以下のことを覚えておきましょう。
◆運動前
・ウォーキングなど軽めのウォームアップをしておきましょう。
◆運動中
・慣れない負荷や初めての種目にトライする場合は、フォームを確認するようにゆっくりとした動作から始め、徐々に負荷を大きくしていきましょう。
◆運動後
・筋肉が熱を帯びている場合は、アイシングをしてあげましょう。
・硬くなった部分をさするようにほぐしてあげましょう。
・お風呂で湯船につかるなどして、血行をよくしてあげましょう。
・夜更かしせずに寝ましょう。(睡眠時間をしっかりとる)
あわせて、日頃から栄養補給や水分補給もしっかりと行うことも重要です。
筋肉痛は、からだが休憩のタイミングや成長(筋繊維の修復による)をお知らせしてくれるサインです。
からだをケアするところまでをトレーニングと考え、時にはアクティブレストを取り入れることでトレーニング習慣を充実させていきましょう。
椎名 優(しいな まさる)
パーソナルトレーナーとして、ダイエットを目指す女性や競技力向上を狙うアスリートなど、幅広い層の運動指導に携わる。7年前、ゴルフのパフォーマンスアップを考える中で基本姿勢の重要性に気づき、以後は姿勢改善のプログラムを取り入れるように。株式会社フィットリズム取締役。(株式会社フィットリズムの公式サイト)
<保有資格>
NESTA PFT / KINESIS GOLF ADVANCE TRAINER
Golf Conditioning Specialist / Tennis Conditioning Specialist
Fit Arc Certified Running Assessment Specialist Fitness Professional