東洋医学で生理痛を診断。症状別の5タイプから、あなただけの対策を

生理痛のイメージ画像

女性にとっての健康のバロメーターでもある月に一回の生理。ですが生理痛に悩まされている女性が多いのも事実です。頭痛、腹痛、だるさなど症状に個人差はありますが、実は生理痛にもタイプがあるんです。それぞれのタイプによっても対策が分かれているので、自分の生理痛のタイプと対策を要チェック

東洋医学の「気」とは

はじめまして、鍼灸あん摩指圧マッサージ師の小山ともえです。

この記事では、東洋医学の考え方に基づいたタイプ分けをご紹介します。そこで大切なキーワードになるのが「気」。これは、見えないエネルギーのようなもので、具体的な物質ではありません。

初めて聞くと、なんだかスピリチュアルな話・・・? と感じるかもしれませんが、“なんとなくだるいけど、病気ではない”といったような、「症状名のない症状」に悩んだ経験のある女性も多いのではないでしょうか。「気」は、そうした状態を改善したいときに意識してみてほしい考え方なのです。

ちなみに、体内だけじゃなくて皮膚の表面にも栄気という種類のエネルギーバリアがあり、寝ているときはこれがなくなって無防備な状態になります。
そのままでは「冷え」(東洋医学では寒邪といいます)が身体に入りやすくなるので、布団をかけて身体を暖かくして寝ましょう、というのが東洋医学上での考え方です。

症状から自分の生理痛タイプを診断

①気滞(きたい)タイプ

仕事などでストレスが多い女性に多くみられるタイプがこちら。通常の状態であれば【生命のエネルギー源】として全身をスムーズに流れる“気”は4種類あり、身体の表面をはじめ、奥深くまで分布しています。

人間の身体は気で構成されていて、気の動きが生命維持をすると考えられています。気滞とはストレスや暴飲暴食などが原因で、身体のどこかで気の流れが滞り、お腹が張るような腹痛の張痛(ちょうつう)などの症状が起こってしまう状態

【気滞タイプの症状】
☐生理前~生理前半(1、2日目)にお腹が張るような腹痛がある。
☐月経前症候群(PMS)の症状(頭痛、吐き気、気持ちの変化が激しいなど)が強い
☐仕事や人間関係でのストレスが多い
☐排卵障害がある
☐両肋骨の下を押すと苦しい感じや痛みがある
☐げっぷやおならがよくでる
☐胸が張りやすい

②血虚(けっきょ)タイプ

字の通り、必要な血が足りていない状態。東洋医学で血(けつ)とは脈管というパイプを流れる赤い体液のことを指し、全身の臓腑や筋肉、皮膚などを栄養する大切な体液です。

血の量が不足している、血の機能が低下している状態を血虚(けっきょ)といいます。血には組織を潤す滋潤(じじゅん)作用があるため血が不足すると、筋肉がひきつったり、目がかすんだり、疲れやすくなったり様々な症状が出ます。もちろん生理は血が身体から排出される現象ですので、血虚状態だと量が少なかったり、期間が短くなるのも納得できますよね。

【血虚タイプの症状】
☐血の量が少ない
☐血の色が淡く薄い
☐生理後半にしくしくと痛む腹痛がでる
☐痛みがいつまでも続く
☐皮膚が乾燥している
☐髪の毛にツヤがない
☐貧血
☐爪がもろくすぐに割れてしまう
☐目がかすむ

③瘀血(おけつ)タイプ

東洋医学では血液の循環が円滑でない状態で、血脈から溢れたまま流れなくなってしまったものや、スムーズに流れないものを言います。瘀血は体内の酸性化に関係しているといわれているので、甘いものをよく食べる人、解熱鎮痛剤を高頻度で飲む人によくみられます。

【瘀血タイプの症状】
☐生理に血の塊がある
☐ぎゅっと締まるような痛みがある
☐刺すような痛みがある
☐生理が来ても体温が落ちない
☐血の色が赤黒い
☐舌の色が黒っぽい
☐下の裏にある舌下静脈が浮き出ている

④気虚(ききょ)タイプ

エネルギーである“気”が足りていない状態。エネルギー不足なので全身への循環が悪く、月経周期が短かったり、血の量が極端に少ないのが特徴でもあります。

【気虚タイプの症状】
☐疲れると痛みがでやすい
☐生理後にしくしくと痛む腹痛、鈍痛
☐身体がすぐだるくなる
☐考えることが億劫
☐動くとすぐに息切れしてしまう
☐血の色が淡く薄い
☐朝よりも夕方の方が痛む
☐不正性器出血がある
☐風邪をひきやすい

⑤陽虚(ようきょ)タイプ

いわゆる“冷え性”タイプがこちらです。陽虚は先天的な陽エネルギー不足もありますが、病気などでも後天的な消耗、生ものや冷たい食べ物の食べ過ぎによっても起こります。

【陽虚タイプの症状】
☐高温期が短い
☐低温期が14日よりも長い
☐腰がだるい
☐とにかく寒がり
☐血の色が暗い
☐出血の量が少ない
☐黄体機能不全がある
☐手足が冷えやすい
☐温めると痛みが楽になる
☐押すと痛みが楽になる

タイプ別の生理痛対策とおすすめのツボ

①気滞

気滞は気が止まっている状態なので停滞していた気が上に動くとげっぷに、下に動くとおならとしてでます。少し恥ずかしいですが我慢してしまうと張痛などの症状が強くなるので、我慢は絶対にNG! むしろ意識して出していただきたいものなのです(笑)

食べ過ぎは食滞として、滞りの原因になるので生理前は消化の悪いものは取らない、外食やインスタント食品などを控える、暴飲暴食をしないように心掛けましょう。

気滞の一番の改善方法は“運動”です!身体を動かすことで詰まっているエネルギーが動きだし、心も身体も軽くなります。自宅や会社の一駅手前で電車を降りて、歩く時間を増やすのも効果的◎

しかし「これをしないといけない!」というマインドはストレスになるので、症状を悪化させます。物事をライトに考え自分を甘やかしてあげる時間も作ってあげましょう。

おすすめツボ【太衝】
☆PMSが出はじめるころから刺激しましょう。
また痛みが強い時に押すと痛みが緩和されます。

ツボである太衝の場所を解説する画像

②血虚

とにかく血を補いましょう。レバー、ホウレンソウはもちろん、赤身の多いお肉、豆腐、黒きくらげ、人参、リンゴ、しいたけ、レーズンなど主に赤や黒色のものが血虚タイプには効果的です。

食事制限がメインのダイエットをしていると、血虚症状が強くみられがちですので症状が強くでているときはエネルギー源である食事はなるべく制限しないようにしましょう。また血虚タイプは冷えの症状も伴うので、身体を冷やさないようにし、ショウガなどを食事や飲み物としてとるようにすると身体を内側から温めることができますよ。

おすすめツボ【血海】
☆その名の通り、血は血や血流、海は大量に集まる、大海という意味。
骨に向かってぐーっとゆっくり押してあげると、ポカポカする感覚が出てきます♪
ツボである血海の場所を解説する画像

③瘀血

瘀血タイプの人は上記にもあった身体の酸化に関係しているので「生理中にチョコレートを食べると生理痛がひどくなる!」とよく聞くこちらに当てはまることが多いです。チョコだけでなく、もちろん白砂糖も酸化の影響が大きいので、市販のペットボトルジュースやアイス、通勤前に購入しているカフェラテやミルクティーなども大量の砂糖が入っています。

1日に1杯甘いドリンクを飲んでいるのであれば、2日に1回にしてみたり、人工の砂糖が使われていない自然な甘みのハーブティに変えてみましょう。砂糖をハチミツや黒糖に変えるのも効果的◎ また解熱鎮痛剤の酸性の成分が身体を酸化させ、瘀血に結びついていることがあげられるので、なるべく痛みがピークの時以外は服用を控えましょう!

おすすめツボ【気海】
☆気海は丹田と言ってエネルギーが集まる場所にあります。
朝起きる前に軽くマッサージをすると巡りがよくなり、すっきり目覚めます!
生理痛が辛いときも気持ちいいと感じる強さで押してあげましょう。

ツボである気海の場所を解説する画像

④気虚

エネルギー不足なので激しい運動、キックボクシングや長距離のランニングなどの運動は控えて公園での散歩や軽いジョギング、筋トレも負荷をかけ過ぎず自重でできるものをメインにすることをオススメします。またメンタル的にも落ち込みやすくなるので、細かいことは気にせず、ポジティブに楽しくなるようなことを考えるようにしましょう♪

また睡眠不足で朝が苦手な方が多いと思いますが、夜の睡眠はしっかりと取ることがまず養生の一歩です!質の良い睡眠にはリラックスすることが必要不可欠ですので、寝室の温度や湿度を寝やすい環境に整えたり、ジャージを着て寝ている人は通気性がよく、締め付けの少ない綿の素材のパジャマに変えたりアロマを焚くこともオススメです♡ 気虚タイプの人は、精油の香りも植物のパワーが強いものが気を補ってくれるので、スイートオレンジやジンジャー、シナモンなどのがブレンドされているものを選ぶと◎。

おすすめツボ【足三里】
☆養生のツボとして知られる足三里。優しく押してあげたり、お灸をしましょう。
ツボである足三里の場所を解説する画像

⑤陽虚

こちらのタイプはとにかく温めが肝心。身体を冷やす食べ物であるアイスや生ものはなるべく避け、内臓からも身体を温めることを意識します。夏が旬の食べ物である瓜科の植物、南国で育つ植物であるキュウリ、ナス、ゴーヤ、ズッキーニなどは身体を冷やす作用があるので、取り過ぎには注意。意外なものにはミントも身体を冷やします!

身体を温める食べ物としては、ショウガがおススメです。お寿司屋さんでお刺身を食べるときも、ガリをバランス良く食べるといいかもしれませんね。

また陽虚タイプの方に気をつけていただきたいのは“足の冷え”です。
女性は足首に【三陰交】という子宮とつながりが深い重要なツボがあるので、くるぶしソックスや裸足はなるべくやめて足首が隠れる長さの靴下を履くように意識しましょう。パジャマや部屋着でショートパンツを履いている人が多いですが、実は寝ている間が一番身体が無防備で冷えやすいので、締め付けのない綿の薄手のズボンに変えてみたり、ショートパンツでも足首にレッグウォーマーをして寝るのもgood!

おすすめツボ【関元】
☆温める事を意識しましょう! カイロを貼ったり、ドライヤーの温風を当てても◎

ツボである関元の場所を解説する画像

タイプ別のセルフケアを知って、生理期間もアクティブに。

自分のタイプは見つけられましたか? 普段、薬を飲んでもなかなか症状が改善しないという人は、東洋医学の考え方を取り入れてみると、不快感がなくなる場合もあります。いつでもアクティブに生きるために、自分で自分の体調をコントロールする方法を覚えておくのも、トレーニングの一貫です。

小山ともえさんのプロフィール画像

小山ともえ
幼少期より新体操や器械体操の競技経験を経て、高校ラグビー部のマネージャーを経験し「信頼され、人を支える」ことができるトレーナーを志し、鍼灸師の資格を取得。学生時代には学生トレーナーとしてラグビーや水泳などのスポーツ現場で経験を積む一方、タイ古式マッサージやフットリフレクソロジーを取得。

国家資格取得後、整形外科にて、さまざまな年齢層の女性の運動教室や治療を担当。女性のライフステージに合わせた治療ができるようになりたいと思い、マタニティーケアを専門とした鍼灸サロンに勤務。不妊治療・妊娠・出産・産後のオリジナルケアを学び技術を習得。また、自身の結婚経験も踏まえ、美容鍼灸、ストーンカッサを取り入れたオリジナルブライダルケアも生み出している。

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