女子陸上の迷惑撮影行為。安心して走るために、石塚晴子が必要だと思うこと【PR】

2022年10月に引退した、女子ハードル・石塚晴子(いしづか・はるこ)さん。東大阪大学時代には400mハードルで今も残るU20日本新記録をマークしています。

現役時代から、女子陸上選手のユニフォームのあり方、迷惑撮影行為や性的な撮影被害についても積極的に発信。2022年9月からは株式会社デサントとアドバイザリー契約を結び、「本当に女子選手が求めるウェア」を共同開発しています。

彼女が強く抱く、「女子選手が安心して走れるように」という思い。実際にどのような課題や選手の思いがあるのか、そしてどのように日本の女子陸上界は変わっていくべきなのかーーー。その思いと展望を伺いました。

(写真:槇野翔太)

【本企画は、大型スポーツ専門店のスーパースポーツゼビオが展開するランニングキャンペーン「Women’s Enjoy Run Campaign」の一環として実施しています。】

安心して走れない。女子陸上選手が直面する現状

ー女子陸上界では、迷惑撮影が近年特に問題となっています。石塚さんはご自身でも発信されていますが、どのような課題を感じられてきたのか改めてお伺いしたいです。

あえて待機している選手を撮ったり、写真撮影を求めたり。SNSで直接不快な写真が送られてくることもありました。スタンドを見渡していると、「(不快な目線で)撮られているな」とわかるんです。気が散るし、試合に集中できません。すごく余計な存在だと思います。

最初に経験したのは高校2年生の時でした。SNSを見るようになり、無断で選手の写真を収集し投稿しているアカウントがあると知りました。勝手に掲載されていると知って、ショックだったのを覚えています。

女子陸上選手は、自身が性的な被害を受けたり、身近な人が被害に遭う経験をすることが多いです。そのせいでユニフォームを着るのが苦痛になってしまったり、力を出しきれなくなる選手がいます。競技への安心感がなくなってしまうのは、陸上界にとって大きな損失だと思います。

ー選手も積極的に発信できなくなりますよね。

そうなんです。今は選手一人ひとりの意識が高まっていて、自分以外の写真を無許可で載せないようにしたり、ユニフォームや胸のあたりをぼかしたりスタンプを貼ったりする選手も増えています。「一度世に出てしまった画像は、永久に回収できない」と考えて、投稿することが大事です。

ー被害にあった際は、どのような対策を取られていたのでしょうか?

SNSで勝手にされていることなので、見ないようにするか、ブロックするくらいしかできません。ブロックしたとしても画像は消えないので、やられっぱなしになるのが現状です。

ユニフォームは下着ではないので、厳密には盗撮に当たりません。でも私はあえて、「盗撮」という言い方をしています。選手からすると、一方的に不快な写真を撮られているので。

 

当たり前で流さない。時代に応じた、選手を守るための変化を

ーハラスメントに対して、どのようなアプローチが適切だと考えられていますか?

3つあると思っています。まずは、性的な目線で捉えられやすいセパレートタイプ以外のユニフォームを作ること。選手が選べるようにした上で、大会の環境や運営の仕組みを変えていくこと、周囲の人が理解をして選手を守ることが必要です。

風の抵抗を受けにくいため、海外でセパレートタイプが主流になり日本に入ってきました。女性の場合はシャツだと胸で空洞ができ、抵抗ができてしまうんです。最初は実業団や大学のトップレベルの選手が取り入れるようになり、今では小学生もセパレートになっています。わずかにタイムが縮まるという研究結果も出ているのですが、全選手に必要なのかは議論する余地があると思います。

かつて、ブルマが女性の運動着として主流だった時代がありましたよね。もともとは女性が袴を着ていた時代に運動がしやすいように作られたもので、最初は膨らんだパンツの形だったブルマが、いつしかピタッとしたものになったそうです。誰もあの形である理由を知らないし、当たり前だと捉えられていたんです。(参考:『ブルマーの謎:<女子の身体>と戦後日本』)

「それであるべき理由」がわからないまま続いているものは多いと思います。ユニフォームも、そのひとつなのかなと。

SNSやカメラが発達した今、柔軟に対応する必要があります。時代の流れに応じて、思考を止めずにアップデートしていくべきだと思うんです。

ーセパレートでないウェアを着用して試合に出られていましたが、反響はいかがでしたか?

反響は大きかったです。「着てみたい」と言ってくれる選手も多かったですし、保護者の方から「(子どもには)こういったものを着てほしい」というご意見も多くいただきました。

何を着て試合に出るかは、選手自身が選んでいいんです。「自分のことは自分で決める」文化が広まっていって欲しいですね。

ーまずは選択肢を作ることが大切ですね。大会の環境や仕組みについては、具体的にどういったところを変えていくべきなのでしょうか?

今も「撮影禁止ゾーン」があったり腕章をつけた方のみが撮影できるようになっている大会もあります。でも現状、こういった対策だけでは意味を成していないこともあるんです。選手が移動する合間のタイミングで撮られてしまったり、話しかけられて盗撮される事例もあります。

トップレベルの大会ならまだしも、学生の大会だとそこまで整備されていないことが多いです。現場の意見を拾って、意味のある対策が求められていると思います。

ー環境整備が、「選手を守る」ことに繋がりますね。

そうですね。男女関係なくこの問題について知っていただき、迷惑行為がしづらい環境を作っていくべきです。当事者ではない方々にもご協力いただく必要があると思っているので、発信を続けています。

選手が着たいものを選べる環境づくりへ

ーこういった思いがあって、デサントさんと自らアドバイザー契約を結ばれたのですね。提案前にユニフォームに関するアンケートも実施されていましたが、想定通りだったのでしょうか?

ポジティブな意味で、予想と異なる回答が多かったです。アンケートを実施する前は、単純に「盗撮が減るようなユニフォームを作りたい」と思っていました。でも「盗撮防止に配慮したユニフォームは、どのようなものだと思いますか?」という設問に対する答えから、新たな気づきを得たんです。

「露出を減らしたユニフォーム」という回答が最も多かった中で、「男子と同じ形でいい」「激しく動くサッカー選手やバスケットボール選手もTシャツやパンツ。だから、陸上もいいのでは」とさまざまな意見がありました。形にこだわらず、選手が着たいと思うものを自由に着れる環境が必要なのだなと。自分が服について勉強して作っていくよりも、周囲に協力を仰ぐ立場をとり、その環境を作っていくきっかけになるべきだと思いました。

ー女子アスリートとしては、生理の際に安心して着られるユニフォームも重要だと思います。

そうですね。まず、色が気になります。陸上競技ではチームを目立たせるために明るい色がよく使われますが、白・ピンク・青・水色などは漏れてしまった血が目立つんです。

「形がピタッとしているのでナプキンがつけにくい」「ごわつきが気になる」という意見も多くありました。安心して競技に臨むという意味では、生理も見逃せない観点だと思っています。

ー今回の協業の中で、こだわっていることを教えてください。

具体的な機能についてはまだ考えているところです。

ただこちらの思いを一方的に反映させるのではなく、こまめに選手にヒアリングをしながら作っていきたいと思っています。

女性アスリートが「当たり前」に搾取されないために

ー石塚さんは、2022年10月に引退されたばかりです。改めて振り返ってみて、競技生活を通じて得たものは?

アスリートの中でもいろいろな経験をさせていただいていると感じています。この経験の蓄積は、誰にどう言われようと変わらない事実かなと。

アルバイトや受験経験がないことをコンプレックスに思うアスリートも多いですが、アスリートとしての経験は間違いなく強みです。不足を補うために、自分だけが持っている歴史を強みに変える。そんな気持ちで、今は会社員として新しい仕事にも挑戦しています。

もうひとつ競技で培えたと思っているのは、自分の言葉で話すことです。今回のデサントさんとの取り組みもそうですが、自分の言葉で話していれば道が開かれると経験してきました。自分自身と向き合いながら努力してきたアスリートの言葉だからこそ、聞いてくださる方も多いと思うんです。

ー最後に、女子アスリートへのメッセージをお願いします。

どんな時も、「今の状況が当たり前」だと思ってほしくないです。女性は自分たちが気づいていないところで不利な状況に陥っていることも少なくありません。常に疑問を持って、「今まであったから」と続けていくのではなく、おかしいことはおかしいと考えられる力が必要です。

アスリートには言葉の力があるんです。ならば自分たちがより良い状況に立つために、言葉をきちんと使っていくことが求められることです。私も自分の思いをもっと発信していきたいと思っています。

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ー「DESCENTE MSSロングスリーブシャツ」を着用してみていかがでしたか?

サラサラしていて動きやすいですし、速乾性もあります。軽いし、着やすいですね。

12月3日に行なわれた、伊豆大島マラソンにて<写真:本人提供>

 

ー「アミノバイタル アミノプロテイン for woman」はいかがでしたか?

とても飲みやすかったです。さらっと溶けて、イチゴの味もしっかりしました。コンパクトに持ち運べるのもありがたいです。練習の時は毎回シェーカーにプロテインを入れて持ち運んでいましたが、その必要がありません。遠征の時なども使いやすいと思います。

プロテインでも、味にこだわったものはとてもありがたいです。練習後にご褒美だと感じられるフレーバーはアスリートにとって大切かなと。

実は中学生くらいからアミノバイタルを飲んでいるんです。練習や試合が終わった後に、アミノバイタル GOLDを飲んでいました。一日に3レースある日は、3本くらい摂っていましたね。

「いちごミルクの感覚で、飲みやすかったです」

 

スーパースポーツゼビオでは、Women’s Enjoy Run Campaignを12月18日まで実施中!ぜひ【こちらから】チェックしてみてください!

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