プロじゃないから作れる場所。サーフガールコミュニティ「SELSEA」が楽しそうなわけ。
「サーフィンが好き」「サーフィンを一緒に楽しむ仲間がほしい」そんな女性のためにつくられたメディア&コミュニティ『SELSEA』の、センスがとにかくいい。全国各地の人気サーフスポットでのMEETUPや、サーフィン合宿を企画したり、海好きな女性に似合うアパレルが集まったポップアップや、フリマを開催するなど、勢いが止まらない。仕掛けているのは、ライフスタイルサーファーの清宮佑美(せいみや・ゆうみ)さん。2014年から続くこの活動を昨年法人化させ、ビジネスの転換期を迎えたばかり。そのお話には、スポーツコミュニティを盛り上げるヒントが詰まっていました。
(取材・文:小田菜南子、photographer:chiai)
生きていることに感謝。その感覚を味わってほしい
『SELSEA』は、海と共にあるライフスタイルを提案するメディア&サーフコミュニティ。その前身は、「TOKYO SELSEA PROJECT」という2014年から始まったサーフィンイベント企画で、8年くらい細く長く活動を続けてきました。
もともと、雑誌『FINE』のモデルをしていた頃から、サーフィンができることを一つの強みにして、連載やテレビの企画をもらうことも多かったので、「サーフィンしたいんだけど、何から始めればいいかわからない」という相談をよくもらっていたんです。そこで、恵比寿のカフェから千葉の一宮まで手ぶらで行けるサーフィンツアーというのを企画したり、まずは気軽にサーフィンを始められるきっかけづくりをしていました。
私自身、サーフィンを始めたのは早い方ではありません。父は真冬でも極寒の海に入りに行くほどの筋金入りのサーファーでしたが、私が小学生の頃に離婚したこともありそこまで身近ではなかったんです。
ただ、FINEモデルのオーディションのとき、「サーフィンしてないと受からなそう!」と思って、まだ始める前から「サーフィンできます!」って言ったら受かっちゃって(笑)。それから急いで始めたのがきっかけです。最初は父に連れて行ってもらったんですが、それがすごく楽しかった。それから家の近くのサーフショップでバイトをしながら、練習を重ねていきました。
サーフィンの魅力ってよく聞かれるんですけど、なんでしょうね、自然のなかで、ただ生きていることに感謝できる時間というか。そんなこと普通に過ごしていたら考えないのに、サーフィンをしていると毎回思うんです。毎日「今日もいい1日だったな」と思える。
何より、あの波に乗る感覚を味わうと、もうやみつきになる。この感覚を少しでも多くの人に感じてほしい。そのためにもモデルやタレント活動を続けて、発信力を持てるようになろう。10代から20代の頃は、そんな気持ちでお仕事をしていました。
フリーランスモデルへ。誰かのきっかけになれる幸せ
事務所(ホリプロ)のサポートもあり、ドラマでサーファー役をいただいたり、「サーフィンしてる佑美ちゃんが好き」とファンの方からのメッセージをもらったり、徐々に清宮佑美とサーフィンが結びついていきました。一方、タレントとしての自分に限界を感じていたのも事実。10年間所属した事務所を辞め、FINEモデルも卒業し、フリーランスとして活動していくことを決めました。
より自由度が増したことで、サーフィンの発信活動も加速。ありがたいことに、それまでの仕事の一部も個人として受けることができたので、先にお話した「TOKYO SELSEA PROJECT」の活動とモデル業を並行して行っていました。バリへのサーフィンツアーや、海が好きな女の子たちのフリーマーケットをしたり。
参加してくれた子のなかには、今でもサーフィンを続けたり、全日本大会に出るほどになった子もいます。そんな、誰かのきっかけになれたことが嬉しくて、続けて来れたんだと思います。
法人化への挑戦。サーフィンで稼ぐ、に選択肢を
しかし、コロナ禍でほぼ活動はストップ。その間、今のSELSEAにつながるイメージを少しずつ膨らませていました。少しずつ社会がwithコロナで経済活動を回していく風潮が強まってきた2021年の10月に、久しぶりにイベント再開。そのときの参加者の反応を見て、「みんな待ってたんだ」と実感できたことで勇気をもらい、SELSEAの活動を法人化することを決めました。それから一気にお仕事の幅が広がっていくのを実感しています。
たとえばイベントのお仕事など、個人の清宮佑美として受けているときはただ開催場所に行って依頼された通りに動く、みたいなことも多かったのですが、メディアとしてお仕事を受けるようになると、相手も私のサーファーとしての意見に期待してくれているのを感じます。
今まで以上の提案がしやすいし、規格の規模も広げやすい。そもそも、サーフィンの企画をできる人自体が多くはないですし、まず浮かぶのはプロなど選手として活動する人が多かったと思います。私は選手ではない分、初心者や一般の女の子の視点で意見が出せる。そこを強みにしていきたいですね。
会社を経営している、という意味では一応社長をしているわけですが、あまりその肩書きにはこだわっていません。それよりも「ライフスタイルサーファー」という自分でつけた名称で自己紹介することが多いですね。私はプロではなく、あくまで一般サーファー。コミュニティのみんなとも、サーフィンを教えるというよりも、一緒に楽しむというスタンスで時間を過ごしたいんです。その方が企画の視野も広がっていくし、メンバー同士の交流も活発になる気がします。
今でもSELSEAで出会ったメンバー同士で仲良くなって、それぞれ遊びに行ったり、コミュニティの良さを自然に広げてくれる雰囲気があって、私はそれがすごく嬉しい!女性がサーフィンを始めるなら、まずSELSEAにっていう存在になれたらいいなと思っています。
SELSEAのイベントを紹介
毎月、日本全国のサーフィンスポットの近くでサーフガールのためのイベントを企画しているSELSEA。今回は、8/20に千葉県一宮海岸の近くのスタジオで開催された、Girls Summer Partyの様子をお届けします。
会場は、千葉県上総一ノ宮にあるハウススタジオ「Patencio」。
プロサーファー野呂玲花さんとのコラボイベントで、外国の一軒家風のスタジオ(プール付き!)で、おしゃれなフィンガーフードをつまみながら、フリーマーケットや野呂玲花プロデュース「lueurswim」「bodybylueur」POP-UPを楽しみました。
集まったのは、海やサーフィンが好きな女の子たち。それだけで自然と話が弾むから、初めてや、一人で参加する人でも安心。プールに入ったり、プールサイドで涼んだり、写真を撮りあったり、思い思いに楽しめるガールズパーティーでした。
試着したらほしくなっちゃう!「lueurswim」はどんな女性にもフィットする
プロサーファーの野呂玲花ちゃんがプロデュースする「lueurswim」。サーフィンしてもずれない柔らかく体にフィットする素材で、サーフガールに人気。好きな柄と生地、トップスやボトムの形を全部オーダーメイドできるから、試着会は大盛り上がり。それぞれが選んだ水着を見ながら、どっちにしようか悩む時間が楽しい!
楽しみ尽くしたあとは、希望者は海へ。みんなで入るセッションは格別。
始まりから終わりまで、笑顔に溢れていたSELSEAのGirls Summer Party。初対面の女の子たちが自然に仲良くなっていくコミュニティで、誰でも入りやすい空気が溢れていました。
撮影:chiai https://www.instagram.com/mamatime.chiai_official/