スポーツの合間の“補食”、何をとるべき?
一般的な「おやつ」と、運動時に摂るべき「補食」は、何が違うのでしょうか。食事と食事の間に摂る「間食」という意味では同じですが、実は摂る目的や条件、摂るべきタイミングが違います。
今回は、補食について栄養ディレクターの田口奈央子さんがお伝えします。ぜひ運動時には、参考にしてみてください!
■教えてくれる人
田口奈央子(たぐち・なおこ)
アスリートフードマイスター1級。アスリート専門の栄養ディレクターとして、多数のアスリートや部活動の指導経験を持つ。Instagramではアスリート向けのレシピや献立などを紹介している。
Instagramアカウント:
@athlete.food_naoko.taguchi、@otegaru.ahletefood.lab_naoko
「おやつ」と「補食」の違いとは?
おやつは心の栄養です。「美味しい!楽しい!幸せ!」と感じられるものを、自由なタイミングで摂るのがおやつです。ケーキやドーナツ、チョコレートなど糖質と脂質が多く、たんぱく質やビタミン、ミネラルが少ない傾向にあります。
一方、スポーツをする方の補食は、運動で不足しがちな栄養素を補うことが目的です。筋肉を分解してしまわないよう、糖質やたんぱく質に加え、それらを効率よく働かせるためのビタミンや、汗で失われるミネラルなどをトレーニングのタイミングに合わせて摂る必要があります。
◆おやつ→心の栄養を補うための間食 ※タイミングは自由
◆補食→不足しがちな栄養素を補うための間食 ※運動強度やタイミングに合わせて摂る
補食の条件
補食は不足する栄養素を補う事が目的なので、運動で失われやすい栄養素が手軽に摂れるものを選びます。
・糖質とたんぱく質が摂れ、脂質が少ないもの
(200㎉前後、たんぱく質10~15gが目安)※競技や運動強度、体格により異なります
・ビタミン・ミネラルを含むもの
(糖質やたんぱく質を効率的に働かせるビタミンと、汗で失われるミネラルが摂れる)
・携帯しやすく、手軽に食べられるもの
(常温で持ち運べる、コロナ禍なので手で直接触らなくても食べられるもの)
補食にオススメな食材は?
補食は栄養素を補うものですが、できるだけおいしい!幸せ!と思えるものを選びたいですよね。
そこで、補食の条件を踏まえた上で、オススメの食べ物をいくつかご紹介します。
和菓子(大福・羊羹・カステラなど)
お餅は糖質が豊富で脂質は少なく、あんこの小豆にはたんぱく質やビタミン、ミネラル、ポリフェノールが含まれます。
和菓子はスポーツをする人に適した補食といえます。カステラやドラ焼きの生地も、主な材料が小麦粉と卵と砂糖なので、糖質とたんぱく質がしっかりとれます。
カステラは他の和菓子と比較して脂質が少しだけ含まれますが、その分腹持ちも良く、増量系のアスリートや減量系アスリートのリカバリーにもオススメです。
バナナ・焼き芋(干し芋)
バナナやさつまいもは糖質が豊富で、たんぱく質・ビタミン・ミネラルも豊富に含む食材です。特にバナナは、糖質の種類も単糖類から多糖類まで幅広く含まれるため、エネルギーに早く変えたいときも、ゆっくり変えたいときもどちらも使えます。
米麹の甘酒
米麹の甘酒は、ノンアルコールで、体に吸収しやすい糖質やアミノ酸が豊富です。
ビタミンも含まれています。甘酒だけだと甘すぎて飲みにくいと言う方は、豆乳や牛乳で割ればたんぱく質やカルシウムも追加できます。
おにぎり・おいなりさん
おにぎりは糖質とたんぱく質がセットで摂れる、優秀な補食です。
鮭やおかか・たらこなど、具材を変えれば飽きずに食べられますよね。
おいなりさんも、油揚げからたんぱく質や鉄分が摂れるのでオススメです。
コンビニで買う際、どうしてもホットスナックが食べたいときには、肉まんや焼き鳥を選ぶのもよいでしょう。
スポーツをする人の補食というと、プロテインやプロテインバーのイメージが強い方もいらっしゃると思います。でもこのように、手軽に買える食材からも、美味しく食べて、不足した栄養素が摂れるのです。