「睡眠でパフォーマンスを上げる」ヒラノマリさんによる環境変化に負けない睡眠対策セミナー

 

春は、気候の変化はもちろんのこと、多くの人にとって環境が変化するタイミング。「寝付きが悪い」・「眠りが浅い」など、この時期特有の問題点を抱えてはいませんか?環境の変化は、自身が思っている以上に睡眠に影響をもたらしています。

 

今回のB&セミナーでは、プロアスリートのパーソナル睡眠指導を行なうスリープトレーナーのヒラノマリさんをお迎えして、「環境変化に負けない」質の高い睡眠を得るための、具体的な対策を教えていただきました。

 

■セミナー講師


ヒラノマリ

スリープトレーナー。自身も睡眠で悩んだ経験から睡眠学に興味を持つように。大学卒業後、某大手インテリア会社に入社。寝具担当として幅広い顧客に寝室全体のコンサルティングを行ってきた。2017年から、アスリート専門に睡眠指導を行う『スリープトレーナー』として活動をはじめる。ショールームでの販売経験を活かした具体的なアドバイスは、プロサッカー選手や五輪出場選手にも好評を得ている。

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「春の睡眠」が乱れやすい3つの理由

 

ヒラノさん
早速ですがみなさん、質のよい睡眠はとれていますか?
春は卒業や就職・実業団入り・異動・引越しなどの環境変化に向き合う機会が多い季節です。そういえば最近よく眠れない、夜中に目が覚めてしまうなど、睡眠に悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?

睡眠に不調を感じたとき、まずみなさんにしていただきたいことは、なぜ眠れないかの原因を知ることです。特に「春の睡眠」が乱れやすい理由は大きく3つに分類できます。それぞれの対処法を知って、今晩から快眠を目指しましょう。

 

 

春の睡眠が乱れやすい理由


①気圧の変化
寒暖差が大きく低気圧と高気圧の変動が頻繁に起こり自律神経が乱れる。

 

②環境の変化
異動・進学・引越しなど生活スタイルが変化によるストレスで交感神経の過敏状態が続く。

 

③寝室環境
季節が変わっても寝具が前シーズンのもののままで体温調整がうまくいかない。

 

ヒラノさん
上記3つの要因には、それぞれに適したアプローチ方法があります。自分がどれに当てはまるか、一度立ち止まって分析してみましょう。

 

あなたのタイプは?原因別の睡眠アプローチ


続いて、各タイプ別へのアプローチ方法について学んでいきます。

 

①気圧の変化 「低気圧で自律神経・睡眠乱れがちさん」

【特徴】

・雨の日や台風の日に、体の不調を感じる
・花粉症による鼻づまりがある
・せっかく寝付いたのにすぐ起きてしまう、中途覚醒する

 

 

ヒラノさん
タイプ①「低気圧で自律神経・睡眠乱れがちさん」は、気圧の影響で、疲労回復に関わるとも言われている「自律神経」が乱れがちです。

「自律神経」とは、呼吸や心拍・血圧や体温など、全身をコントロールする司令塔です。日中や活動時間に活性化する交感神経と、夜間やリラックス時に活性化する副交感神経の2つで構成されており、シーソーのような関係を保っています。

 

 

ヒラノさん
夜、副交感神経のスイッチが入っていると睡眠の質が上がり、パフォーマンスの向上につながります。

また「自律神経の乱れ」はなんとなく“女性特有のもの”と思われがちですが、男性のほうが乱れが早い(30代以上)とも言われていて、実は男性にもしっかり意識してほしいポイントですね。

 

【具体的な対策】

・大切なのは午前中!軽い運動で交感神経のスイッチをON

 

ヒラノさん
目覚めから「だるい日」ってありますよね。でも、1日中ダラダラ過ごしてしまうのはNG。ダラダラ=副交感神経がONの状態が続き、体も脳も疲れてしまいます。散歩・ランニング、自転車などの軽い運動で、“幸せホルモン”である「セロトニン」を分泌しましょう。もやもやとした気分が、晴れやすくなりますよ。

 

②環境の変化 「環境の変化で交感神経過剰反応さん」

【特徴】

・ストレスを抱えている自覚がある
・心配性・神経質
・同じ姿勢を保つ時間が長い

 

 

ヒラノさん
タイプ②「環境の変化で交感神経過剰反応さん」の「同じ姿勢を保つ時間が長い」人には、移動や出張の多い人も含まれます。新幹線・飛行機に乗る場合も移動中に外の景色を見ることで、目から入った視覚の情報を処理するのに脳を使ってしまうんです。自覚・無自覚問わず緊張状態が続き、交感神経が過剰反応してしまうことが睡眠の乱れを招きます。

 

【具体的な対策】

・自分でできるセルフケア!首のコリをほぐそう

 

 

ヒラノさん
マッサージを受けたときに眠くなってしまうことがあるのは、筋肉の凝りがほぐれ副交感神経が優位になるから。特に、自律神経は背中と首回りに集中しているので、重点的にほぐしましょう。

 

【セルフマッサージのやり方】

頭を3つのパーツ(耳周辺・頭頂部・後頭部)に分けて考えます。
順番:①耳の周辺部分②頭頂部③後頭部。各パーツ、円を描くようにマッサージする。
指でもよいが、専用のグッズがあったほうがやりやすい。

 

ヒラノさん
このセルフマッサージは、リモートワーク中や、ベッドに入ってから寝付きの悪いときなどにオススメです。なかには、手のひらサイズのマッサージ用品を遠征時に持参するアスリートも。

 

③寝室環境 「暑い!寒い!寝苦しいさん」

【特徴】

・温度調節が上手にできず、寝苦しさを感じる
・前シーズンと同じ寝具を使用している
・寝室環境が「見える化」できていない

 

 

ヒラノさん
筋肉量の多いアスリートのなかには、この時期になると「寝汗がひどくて目が覚める」という人もいます。気候の変わりやすい今の時期、寝室環境を見える化することで理想の睡眠に近づきましょう。

 

【具体的な対策】

・温湿度計を寝室に!理想の数値を知る

 

寝床内環境の理想数値

温度33℃前後(室温と間違えないよう注意!)
湿度50%前後

寝具の衣替えの目安=室温が20℃を超えたら

 

ヒラノさん
寝床内環境とは、布団のなかの環境のことを意味します。寝ている間などの正確な数値を知ることは難しいですが、この時期は『室内温度20℃』を目安に冬物から薄手の肌かけ毛布などに衣替えを行いましょう。

 

質疑応答

 

セミナーの最後には参加者が直接質問ができる時間も設けられ、この時期特有のトピックが話題にあがりました。

 

Q.寝具は自律神経に影響を与えますか?

 

ヒラノさん
影響します。寝具は、肌触りや触り心地で選んでいただけるといいかなと思います。できるだけ柔らかく・肌触りのいいものは、副交感神経のスイッチをONしやすくしてくれます。「低反発」の製品の使用には、個人差があり、痩せている人・筋肉質の人など体型によっても異なります。

 

Q.寝ようと思っても眠れない場合に、起きて本を読んだり映画を観たりしてしまいます。するとさらに眠れなくなってしまい・・・いっそ、一睡もしないほうがよいのでしょうか?

 

ヒラノさん
夜寝付けない場合には、一度ベッドから出ることをオススメしています。眠れないままベッドに残ってしまうと、脳が「ベッド=眠れない場所」と誤認識して、トラウマになってしまいます。その日は眠れなくても、翌日は頑張って夜まで起きて早めに寝るなど、その日以降にどう調整していくかという点に注力してください。睡眠を“調整する”という意識を大切にしてくださいね。

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