“負荷を掛けた方が楽”。他人頼みのマインドがランで一転【IT・営業/石田亜伊】

石田亜伊さんの写真

仕事もスポーツも自由に楽しむ女性を紹介するシリーズ、「はたらく私とスポーツ」。第1弾は、IT企業で働く石田亜伊さん。

テレビ制作の世界でハードに働き続けた20代を経て、今は自分の「好き」と「強み」を掛け合わせたスポーツ支援のビジネスに従事しています。

「ちょっと大変なときこそ、あと一歩頑張った方が楽になる」という仕事マインドのベースをつくった、ランニング習慣について伺いました。

(撮影:田中紘夢、聞き手・文:小田菜南子)

27年間持ち続けた運動への苦手意識

27歳で初めてランニングをするまで、運動はほとんどしてきませんでした。子どもの頃から背が高く、周囲からも期待されて育ったんですが全くの運動音痴で……。でもスポーツは好きだったので、違う形で関わろうとして、サッカー部のマネージャーをしていました。

走るきっかけは、社会人時代に太ることへの恐怖から、食べること自体が怖くなってしまったこと。当時はテレビの制作会社で働いていたのですが、超激務なうえに接待も多く、私も食べることだけが楽しみだったので、気づけば12kg太ってしまったんです。それからダイエットを始め、食事量を減らす方法で痩せられたのですが、食べたら太るという強迫観念にかられるように。

食べることが好きなのは変わらないので、会社の接待などでは「仕事だからしょうがない」と言い訳をして食べるのですが、家に帰ってから吐いてしまう……。同居していた家族からも、「ちょっとやばいよ」と言われるくらい、ガリガリなからだでした。

 

自分でもよくないと思い、食事以外に痩せる方法を見つけなければと始めてみたのが、ランニングでした。

最初は2km。次は3kmと、徐々に距離を伸ばしていくのが楽しくて。「私、走れるんだ!」というのが嬉しかったですね。今は週で50kmを目標に、基本的には週5日、毎朝10km走っています。

石田亜伊さんの写真

(ご本人提供)

 

目標達成から1日がスタートする快感

最初は体型維持が一番の目的でしたが、徐々に「朝一番に達成感を味わうこと」が、明日も走ろう!というモチベーションになっていきました。目標達成から1日がスタートするって、気持ちいいんですよね。どんなに仕事が大変でも、うまくいかなくても、自分を毎日ほめてあげられるようになりました。「今日もえらいぞ! 自分!」って思うだけで、自己肯定感って上がるんですよ。

それからは、毎朝6時半に起きて、走ることを最優先事項にしてスケジューリングをするようになりました。睡眠時間はたっぷりとりたいので、22時に寝る。そのために飲み会があっても二次会には行かずに帰る、次の日走る日にはそもそも飲みに行かないとか。

走り始めたときは独身でしたが、ランが習慣になってからは、恋愛にももっと積極的になろうと思って、婚活も頑張りました(笑)。実際、デートが増えるとスケジューリングは大変になりますし、結婚してからはますます自分だけの予定を組みにくくはなりましたが、それでも「週5日で50km」という習慣は続けていました。

石田亜伊さんの写真

 

「この子、走れるから!」が信頼の証

その後に転職をしたのですが、それもランニングがきっかけです。テレビ制作時代にもスポーツ番組を担当することもあったのですが、自分がスポーツをするようになったことで、よりアスリートの気持ちに寄り添えるようになりました。

今は、アスリートとファンをつなぐギフティングサービス「Unlim」の運営を行っています。アスリート一人ひとりの元へできるかぎり足を運び、直接お話をさせていただいています。そんなとき、自分にもスポーツ習慣があることで話題のきっかけが生まれたり、怪我の辛さが少しでも理解できたりすると、走っていてよかった!と思います。

人としても信頼してもらえる気がしますね。そうして話が弾み、アスリートが話してくださる十人十色のストーリーを感じる瞬間が本当に幸せです。

 

「走れる」=それほどの努力をしてきたことの証明というのは、スポーツをしてきた方に通じる一つの価値観のようです。ランニングを通じて知り合った方々の中には、全く違う世界で働き、しかも社会的にも成功されている方も多いんです。

そんな方々と軽く走りながら仕事の雑談をすることもしばしば。私が悩みを相談すると、力になってくれそうな知り合いを紹介してくださるのですが、そんなときの紹介文句は「この子、走れるから!」(笑)。

石田亜伊さんの写真

(ご本人提供)

いいの? と思いつつ、認めてもらえていることを嬉しく感じます。そんなことも、走り続けられる理由です。

 

働くスポーツ女子へ。「もっと頑張ったら、もっと楽になる」

新規事業を軌道に乗せていくことは、大変なこともあります。アスリート一人ひとりに直接会うために日本全国をめぐりながら、新しい企画を考える毎日は、やりがいを感じるけどハードです。

だけど、頑張るほうが楽ということを、ランニングが教えてくれた気がします。それまでは「頑張っていれば、いつか誰かが見つけてくれる」というマインドで、仕事も恋愛もこなしてきました。でも、目標を立てて自分の力で達成するほうが、“いつか”や“誰か”を待つよりずっと楽だし、楽しいです。ちなみに、そのマインドで1回目の結婚も掴みました。離婚しちゃったけど、今はまた新しい出会いに向けて行動し始めました!(笑)

だから辛いと思っても、今取り組んでいることに、ぐっとあえて負荷をかけてみる。「もうこんなところでいいか」と思うところで、もう一踏ん張りする。

それだけで、明日は少し楽に走れたりする。仕事も一緒なんですよね。逃げるといつまでも辛いし、自分を好きになれない。仕事にもスポーツにも打ち込んでいる女子には、あえて「もっと頑張ってみよう!」と声をかけたいです。

 

■次の目標

・フルマラソン3時間15分を切る
・ウルトラマラソン(100km)走破

石田亜伊さんの写真

(ご本人提供)

 

■プロフィール

石田 亜伊(いしだ あい)さん

神奈川県出身。テレビ番組の制作会社を経て、IT企業に転職。アスリートがファンからの「応援だけでは伝わりきれない想い」を受け取れるスポーツギフティングサービス「Unlim」の運営、コミュニティ拡大に邁進する日々を送る。石田さん自身、アスリートを想う気持ちの強さゆえに、「お説教モード」になることも。5年前から、週5日の朝のランニングを続け、週に50kmのペースを守っている。

お気に入りのシューズは、adidas/adizero japan。

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