体を冷やさない毛布と布団の順番は? ~冬の睡眠 後編~
こんにちは。ヒラノマリです。
『スポーツ×睡眠』をテーマにした連載。5回目は前後編にわたり、「冬の睡眠」をテーマに、睡眠コンサルをしている中で多い冬の睡眠のお悩みをQ&A方式でご紹介しています。
後編では、冬場の寝室の作り方をご紹介します。
(前編はこちら)
冬場の寝室は加湿器との併用で室温16~19℃・湿度50%
お悩み③:冬場の寝室の寒さ対策について教えてください。
よく冬場に暖房をつけたまま就寝していいのか、という質問をいただきますが、答えはイエス!
温湿度計を置いて、室温16~19℃をキープするようにしましょう。
室温がこれ以下になってしまうと、呼吸によって肺が冷やされ深部体温が下がりすぎてしまい、明け方寒さで起きてしまったり、睡眠の質を悪くしてしまいます。
いざ寝るときに、暖かいリビングから寒い寝室に急に移動してしまうと、その寒暖差で交感神経が刺激されてしまうこともあるので、寝室は就寝の1時間前から暖めておきましょう。
ただ、暖房を使用すると湿度が30%ぐらいにまで下がってしまうことも。
寝室にも加湿器を置いて、湿度50%前後を維持するようにしましょう。
加湿器を寝室に置けない方は、寝室に洗濯物を干したり観葉植物を置いたりする方法も有効です。
観葉植物を置くことで、植物が湿度をコントロールしてくれるという実験結果もある上、グリーンアメニティ効果といって植物が目に入るだけでアルファ波という脳波が増加し、副交感神経のスイッチが入って入眠しやすくなる効果も期待できます。
毛布で背中側を断熱するのも効果的!
そして寝室の室温と同じくらい大切なのが、寝床内環境(布団の中の温度・湿度)。
とくに、ファイバー系の高反発マットレスをお使いの選手に多いのが、マットレスの通気性が良い分、布団の中がなかなか暖まらないというお悩みです。
寝床内環境を暖かく保つためのポイントをご紹介します。
- 毛布はかけるのではなく、身体の下に敷く!
毛布を、羽毛布団と身体の間に掛けてお使いの方が多いのですが、実は羽毛布団を直接身体にかけて毛布はマットレスや敷布団の上に置き、
『羽毛布団―身体―毛布―マットレス(敷布団)』
とするのがおすすめです。
その理由は、熱は背中側から逃げやすく、背中側から断熱をしてあげた方が布団の中の温度が下がりにくく暖かいからです。
メーカーや商品によって例外はありますが、毛布には表裏がありラベルがついている方が毛布の表になります。表側は毛足が長くて肌触りが良いので、マットレスに敷くときはこの表側が体側にくるように敷くのがポイントです。
毛布の素材も吸湿発散性の高いウールやカシミヤなどの天然素材のものがおすすめです。
- どうしても寒いときは、羽毛布団の上に毛布をかける!
とは言っても羽毛布団だけでは心もとないし、寒いという方もいらっしゃいますよね。
その場合も、『羽毛布団―毛布―身体―毛布―マットレス(敷布団)』ではなく、
『毛布―羽毛布団―身体―毛布―マットレス(敷布団)』
にして、毛布を羽毛布団の上にかけるのがおすすめです。
羽毛は体温で暖められることで、ダウンボールと呼ばれるタンポポの綿毛のような羽毛が大きく膨らみ、保温能力が発揮されます。
体温が伝わりやすいよう身体に近いところに羽毛布団をもってきて、羽毛布団で保温された温かい空気を毛布で包み、身体の熱が逃げにくくするのがポイントです。
ただし、この場合ウールの毛布をかけてしまうとその重さで羽毛布団のかさが潰されてしまうので、化繊など軽めの毛布やタオルケットをかけるのがおすすめです。
また、羽毛布団の上に毛布をかける場合は毛布の裏側(ラベル側がついていない側)を羽毛布団側にしましょう。
毛布の裏側は、繊維が短いので摩擦抵抗が大きく、毛布に接する布団がズレにくくなります。
冬場の睡眠はちょっとしたコツを押さえることで、ぐっと睡眠の質を上げることができます。
中途覚醒(夜中途中で目覚めること)が多く、睡眠の質が悪いと中途覚醒が少ない人に比べて、免疫力が落ち、5.2倍も風邪にかかりやすくなったという研究結果も報告されています。(※1)
免疫力を低下させたくない今こそ、冬の睡眠の質を意識してみてくださいね!
◼︎プロフィール
ヒラノマリ
スリープトレーナー。自身も睡眠で悩んだ経験から睡眠学に興味を持つように。大学卒業後、某大手インテリア会社に入社。寝具担当として幅広い顧客に寝室全体のコンサルティングを行ってきた。2017年から、アスリート専門に睡眠指導を行う『スリープトレーナー』として活動をはじめる。ショールームでの販売経験を活かした具体的なアドバイスは、プロサッカー選手や五輪出場選手にも好評を得ている。
Twitter:@sleeptrainer_m3
Instagram:@maririn__gram
≪参考文献≫
※1:Arch Intern Med. 2009 Jan 12;169(1):62-7