ダンサー時代から体型キープのために通っていたジムでのトレーニング。本格的にフィットネスの魅力にハマったことをきっかけにフィットネスモデルへと転身し、現在は自身のフィットネスウェア「TANOREXIA」(タノレクシア)を立ち上げるなど個性的なキャリアを歩んできたNATSUさん(通称:こげなつさん)。彼女のフィットネスに対する思いや、ブランド立ち上げの秘話などを聞いてきました。
(取材・文・撮影:岡田隆太郎)
コンプレックスだった下半身に自信を持てるようになった
ーもともとはダンサーとしてご活躍されていたんですよね?
3歳からダンスを習っていて、ジャズ・ヒップホップなど、様々なジャンルを経験したのちに、プロになる決意をしました。
ーそこからなぜフィットネスモデルに転身を?
ダンサーと並行してモデルもやらせていただいており、体型維持や体力づくりの一環で、もともとジムトレーニングは習慣的に行っていました。しかし、当時は部位を意識して鍛えたりするわけではなく、なんとなくトレーニングをしていただけ。
そんな折、友人からフィットネスの大会に出ないかと誘われ、本格的なトレーニングを始めたことを機にハマっていき、気がついたらそれが仕事になっていました。
ーフィットネスの大会では何を競い合うんですか?
項目は大会によって様々なのですが、既定の衣装でウォーキング審査があったり、腹筋が割れてないとダメだったり、逆に割れているとダメだったり、多種多様です。
ーなるほど。
もともと私は、下半身が大きいことに対するコンプレックスがありました。なんとなく先入観で「お尻は小さいほうが可愛くて、脚も細くないといけない」みたいな。でも、大会に出てみると、自分よりも大きな下半身の人がたくさんいて、刺激になったんです。
ーコンプレックスが強みになるかもしれないと感じたんですね。
審査員からも下半身は褒められたけど、逆に上半身が足りないと指摘されました。これまではコンプレックスだった下半身に自信が持てたし、自分のからだを褒められる体験が初めてだったので、自己肯定感が上がって精神的に安定するようになった気がします。
ー未経験の女性に向けて、フィットネスの魅力を語るとしたら?
心身ともに健康になれるのが、フィットネスの最大の魅力だと思います。からだがどんどん綺麗に変化していく過程が、成果として目に見えるのは純粋に楽しいです。他人と比べるのではなく、過去の自分と比較したときに進化している実感が持てることで自分を好きになれるはずです。
「脱・スポーティ」でオシャレなフィットネスウェアを着て街に出たい
ー2020年6月には、ご自身のフィットネスウェアブランドを立ち上げられていますね。
日本では「トレーニングウェア=ジムで着るもの」というイメージがありますが、海外ではトレーニングウェアを街中でかっこよく着こなしている人を多く見かけます。
でも、日本で売られているブランドだと、街で着たいと思えるウェアがなくて、海外サイトで購入する事が多かったんです。ですが、海外規格のものだとサイズが合わなかったり、手元に届くまでにタイムロスがあったりと課題も多く、同じような悩みやニーズを解決できればと、自分でブランドを立ち上げることを決めました。
こげなつさんのブランド「TANOREXIA」のInstagramはこちら
ーコンセプトを教えてください。
タノレクシアの意味は「日焼け」なのですが、健康的な焼けた肌に合うカラバリ展開が特徴のウェアとなっています。トレーニング中でも快適かつ、からだのラインをきれいに見せるように設計しているので、どんなときも美を追求しながら、お洒落を楽しみたい女性に着ていただきたいです。
ーたしかにファッショナブルでかっこいい印象を受けました。
タノレクシアは、基本的には私が好きなもの・着たいものを詰め込んであるので、私と同じようにストリートウェアが好きな女性は気に入ってくれるはずですし、同じ思考を持った人たちのシンボルになれば嬉しいです。
日本人のウェアのレパートリーって、レギンスやショーツが多いし、スポーティすぎてオシャレとは文脈が違うので、そこは差別化を狙いました。また、健康的で日焼けした肌に合うアースカラーをブランドカラーに設定したのも、こだわりのひとつです。
ー今後の展開についてお伺いしたいです。
春夏と秋冬で素材を変えたり、さらにカジュアルダウンしてスポーティな要素を薄めてオシャレさに磨きをかけたいです。また、冬でも使える羽織りものや、ギアなども今後は展開していきたいと考えています。
ーブランドを立ち上げる上で苦労したことや、今だから言える裏話はありますか?
普段は既製品を着ているから意識したことがなかった生地選びや、サイズ感などを1から考えるのは、とんでもなく大変でした。この素材とこの縫製でやりたいけど、それだと製品として成り立たない〜(涙)みたいなジレンマもありましたし。
ー構想から立ち上げまでどれくらいの期間を要しましたか?
約1年かかりました。カジュアルウェアと違って、フィットネスウェアやスイムウェアはからだにしっかりフィットさせなければいけないので、からだのラインが綺麗に見えるように設計したり、動きやすさや着心地にこだわったので、相当大変でした。
ー服を作るのって難しいんですね。ターゲット像のようなものはイメージされていましたか?
自分と同じように、おしゃれなウェアがないとか、ストリートブランドが好きというトレーニーは一定数いると予想して、その人たちをターゲットにブランドコンセプトを立てました。そこでも、本当に需要はあるのだろうか?と迷ったこともありましたね。
ー世の中に出してみないと反応が分からない、不安との戦い…。
万人ウケを狙ったほうが成功するのかもしれないと考えたこともありましたが、それだと私は心から着たいと思えるウェアにはならないという結論に至り、なんとかブレずにリリースすることができました。
自分なりのスタイルで自分に合ったトレーニングを
ーこげなつさんはInstagramのフォロワーが17万人を超えていますが、発信する上で大切にしていることはありますか?
ネガティブな発言をしないこと、そして嘘偽りない本来の自分を表現することを意識しています。
ーコロナウイルスの影響もあり、おうちでできるエクササイズの需要が増え、その結果フィットネス系のYoutuberやインフルエンサーが乱立している印象ですが、どうお考えですか?
いろんな情報があるのは嬉しい反面、視聴者側のリテラシーも求められる時代になったという実感があります。そして、なによりも発信者は間違った情報を流さないように、より一層の責任を持たなければいけないな、とも。
ーたしかに見る側もすべてを鵜呑みにしてはいけないですね。
私は過去に、過度な食事制限や大幅な減量によって生理や排卵が止まり、健康のためにフィットネスをしているはずが、逆にからだに負担をかけてしまった経験があります。この失敗から学び、私は食べることを我慢せずに、炭水化物もなんでも好きなものを食べるようになりました。
ー今後の目標はありますか?
人前で話すことが苦手なので、なかなか始められなかったのですが、今後はYouTubeやインスタライブなどの動画配信にも挑戦していきたいです。私自身がフィットネスを通して人生が変わったので、少しでもその魅力を伝えていければいいかなって。
■プロフィール
NATSU(こげなつ)
モデル/ダンサー兼TANOREXIA(タノレクシア)ディレクター。北海道札幌市出身。19歳で上京後、ダンサーとして国内外問わず活躍。モデルとしても雑誌、TV、CMやPVに出演するなど活動は多岐にわたる。2020年にはフィットネスウェアブランドTANOREXIA(タノレクシア)を立ち上げた。Instagramのフォロワー数は17万人を超え、美を追求する女性から多くの支持を集めている。
Instagram:@kogenatsu920
TANOREXIA instagram:@tanorexia_official
TANOREXIA HP: https://tanorexia.jp/